延長、例外…どこまで応える?制度を決める基準

訪問の現場では、延長や例外対応を求められる場面がよくあります。

-「少しだけ追加で揉んでほしい」
-「次回から30分だけ早めに来られない?」
-「今日キャンセルになりそうなんですが…」

一度や二度なら対応できる。
問題は、それが“制度化されないまま”現場判断で続いてしまうことです。

この曖昧さが、

-気づけば労働時間が伸びる
-断れない関係ができる
-線引きが曖昧になる

結果として、施術者自身が疲弊し、
「続ける力」が削られていきます。

この記事では、

延長・例外にどこまで応えるべきか、
判断する基準と制度づくりの考え方

を、現場でつかえる形で整理していきます。

迷いが減れば、施術に集中できて、
関係性のトラブルも防げます。
(読後すぐ、ルールの見直しができる内容です)

◆① 最初に時間の上限を提示する

訪問では、施術時間が曖昧なまま始まることがあります。
「今日は少し長めに」「ここも触ってほしい」
こうした依頼が重なると、知らないうちに予定が押し始めます。

患者は悪気がない。ただ、施術の枠を“無限だと認識してしまう”ことが問題です。

このズレを防ぐために、最初に時間の上限を伝えておくことが重要です。

例:
「施術枠は60分です。時間を過ぎそうな時は、その場で相談しますね」

この一言で、暗黙の了解に頼らずにすみます。「延長できるのが前提」になるのを防げます。

時間を提示することは冷たさではなく、施術の質と関係性を守る行為です。
施術時間を守ることは、施術者自身の集中力と判断力を守ることにつながります。

時間の制度が曖昧だと、施術そのものと同じくらい消耗する。
そこに気づけるかどうかが、長く続けられるかどうかの分岐点になります。

※時間や約束のズレが積み重なったときの判断については、
こちらの記事で具体的にまとめています👇
在宅ケアで「時間」を軽く扱わない理由


◆② 「延長」ではなく「回数調整」で提案する

訪問では
「今日は長く揉んでほしい」
という依頼がよくあります。

しかし、長く時間をかければ改善するわけではありません。
その日だけ長くしても、長期の改善に繋がらないことが多い。

必要なのは「時間」ではなく「刺激の頻度と総量」です。

例:
「今日は延長するより、週1回→2回の方が変化が出やすいですよ」

延長は施術者側の負担を増やしますが、回数調整なら時間枠が固定されます。
その方が患者にとっても改善が見えやすく、施術者にとっても制度として安定します。

「長くやるか、やらないか」ではなく
「枠の中で何を調整するか」を軸にすることで消耗を防げます。

※頻度・回数の相談で迷ったときはこちらの記事で具体的にまとめています👇
訪問鍼灸は「長くするより回数」/延長より頻度を優先するべき理由


◆③ キャンセルは制度で防ぐ

キャンセルが多いと、スケジュールが崩れるだけでなく
「断りにくさ」が重なって関係が歪みます。

ただ、キャンセルに強く対応する必要はありません。大切なのは制度化。

・事前に予定を押さえる
・連絡手段と期限を決める
・無理な時は遠慮なくキャンセルしてOK、と伝える
・その理由は責めない

例:
「早めに教えてもらえると助かります」

この一言があるだけで、利用者は安心して早めに連絡できます。
逆に制度が曖昧だと、無理して来ようとして悪化するケースもあります。

キャンセル制度は「拒否」ではなく
双方が無理をしないためのツールとして使います。

時々、成功した自営業者が
「こちらの時間をなんだと思っているのか」
と強い口調で言うのを耳にすることがあります。

気持ちは分かります。
ただ訪問の現場では、その考え方ではうまく回りません。

高齢者の生活は、予定より体調が優先されます。
通院や介護環境の変化で、突然時間が崩れることも珍しくない。

そこに
「時間を守るべき」という理屈をぶつけても、
現実とは噛み合わず、お互いが疲れるだけです。

訪問では、時間の乱れを敵として扱わない。

時間が崩れる前提で制度を作ることで、
誰も責めずにスケジュール調整ができます。

制度は、患者を縛るためではなく
感情的な判断を避け、長く続けるための仕組みです。

※急なキャンセルや変更が続く場合の考え方は、
こちらの記事で具体的にまとめています👇
【訪問鍼灸】突然のキャンセルはどう判断する?


◆④ キャンセル時の振り返りを共有する

キャンセルは単なる予定変更ではなく、情報です。
理由が見えれば次の一手が変わります。

・家族事由
・体調
・天候
・送迎の都合
・通院との重複

これが整理されていくと、
「この家庭は午前中は崩れやすい」
「この曜日はショートステイにいく」

という判断基準がたち、制度そのものをアップデートできます。

施術者側が一方的に決めるのではなく、
利用者の生活リズムに合わせて制度を調整する。

結果として施術継続率が上がり、
双方に無理のない働き方が形になります。

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