訪問鍼灸で「その場で決めない」理由
──事故と再発を減らす判断の設計
この記事は誰向けか
この記事は、
**「その場で判断を求められることが多く、あとから疲弊している施術者・支援者」**向けです。
技術の話ではありません。
「どうするか」を決める前に、あえて決めない判断の話です。
最後まで読むと、
- その場で引き受けなくていい判断
- 触らなくていい場面
- 後から事故や再発につながる判断パターン
これらが整理できます。
現場で一番多い失敗は「判断が早すぎること」
訪問鍼灸の現場では、
技術不足よりも前にズレが起きる場面があります。
それは、
**「今、決めてしまった時」**です。
- 続けるかどうか
- 触るかどうか
- 増やすかどうか
相手が不安そうにしていると、
早く結論を出したくなります。
ですが、その判断が
後から一番重くなります。
「どうしたらいいですか?」が判断を外に出す
現場でよく聞く言葉があります。
「どうしたらいいですか?」
この質問自体は自然です。
ただ、この瞬間に起きているのは、
判断の主導権がこちらに移っている
という構造です。
ここで即答すると、
- 決める役割を引き受ける
- 責任の位置がこちらに寄る
- 次も判断を求められる
という流れが始まります。
結果として、
施術は増え、説明は長くなり、
生活は変わらないままになります。
私が一番よく使う判断は「今日は決めない」
訪問の現場で、
最もよく使っている判断があります。
「今日は決めません」
- 今日は触らない
- 今日は増やさない
- 今日は結論を出さない
これは逃げではありません。
判断を先送りするための設計です。
なぜ「決めない判断」が必要なのか
生活のズレがある状態で
判断だけを先に出すと、
- 行動が続かない
- 依存が生まれる
- 「やってもらわないと不安」になる
結果、回復は遠のきます。
👉 その前提は、こちらの記事で詳しく書いています
身体を触る前に、必ず確認している「生活のズレ」
訪問鍼灸は「正解を出す仕事」ではない
訪問鍼灸でやっていることは、
正しい判断を出すことではありません。
判断の数を減らすことです。
- 選択肢を絞る
- 今日はやらないことを決める
- 触らない選択を残す
判断が減ると、
人は自然に動けるようになります。
触らない判断は、技術より難しい
「今日は触らない」
「これ以上いじらない」
この判断は、
技術よりも勇気が要ります。
ですが、
触れば安心する構造を作ると、
- 判断が外に出る
- 生活が変わらない
- 再発が起きる
というループに入ります。
まとめ|決めないことで守っているもの
- 早く決めない
- その場で結論を出さない
- 触らない選択を残す
これは優しさでも冷たさでもありません。
事故と再発を止めるための判断です。
関連記事
- なぜ「治療」という言葉を使えないのか
(思想の前提を整理) - 身体を触る前に、必ず確認している「生活のズレ」
(判断の前段にある現場視点)
note連載はこちら
この内容は、
**note連載・第3回「その場で決めない、という判断」**と同期しています。
現場の判断を、
もう一段深く整理したい方はこちらから。
