訪問鍼灸・在宅ケアの“断り方”テンプレ

――穏やかに関係を壊さず、ズレを生まない設計

在宅の現場では、

「頼まれたら断れない」
「優しくしていたら毎回お願いされる」
「NOと言うと関係が壊れそう」

こんな場面がよく起きます。

でも実際に起きているのは、

断れない問題ではなく、設計ミスです。

今日は
“断らなくて済む構造”の作り方と、
それでも断る必要が出たときの最終テンプレまで書きます。


優しいつもりでオーバーすると、依存が始まる

よくあるパターンです。

「優しいつもりで多めにやる」
「今回だけ対応する」

これを続けると、

・期待値が上がる
・毎回頼まれる
・関係が重くなる

現場では冗談半分で
「ドーゼオーバー」と呼んでいます。

大事なのはこれ。

必要量を、必要分だけ。

オーバーしない。
最初から基準を決めておく。


“その場で断る”より“最初から断らなくていい形”を作る

現場では、感情で断りません。

まず配置を変えます。

・時間を揃える
・動線を変える
・ルールを先に決める

たとえば認知症の方で、

9:00の日と9:30の日が混ざり、
混乱が起きていたケース。

このとき伝えるのは、

「これは設計ミスだと思います。
こちらの配慮不足でした。」

そして、

「次回から両日とも9:00にしましょう」

人を責めない。
でも主導権は渡さない。


「こちらの設計ミスです」は関係を壊さない緩衝材

在宅では、

誰かを責めた瞬間に空気が壊れます。

だから、

「こちらの設計ミスだと思います」

という言い方をよく使います。

責任は引き取る。
でも判断は手放さない。

このバランスが重要です。


関係は切らず、ズレだけ止める

ズレたときも、

いきなり関係を切りません。

いったん中断する。
あえてタスクを残す。

「1〜2週間あけて再開しますか?」

ではなく、

「残していたタスク、やりたいですよね?」

こうやって
関係は残して、ズレだけ止めます。


基準はいつもこれ

正しさ < 事故が起きない配置
優しさ < 折れない設計

患者さんの機嫌は取ります。
でも媚びません。

共感もします。
雑談もします。

ただ、構造は崩しません。

在宅の初動設計については、こちらも参考になります。
訪問鍼灸の初回対応|不安は“説明”じゃなく“設計”で消す(現場で事故らない人の思考)


それでも断る必要が出たときの最終テンプレ

在宅では、
どう設計してもズレる場面はあります。

そのときは、きちんと断ります。

ポイントは3つだけ。

① 感情の理由を使わない
② 相手を評価しない
③ 構造として切る

実際の言い方は、だいたいこれです。

すみません。
今の形だと、こちらが責任を持てない状態になっています。
なので、この条件では続けられません。

必要なら続けて、

こちらの設計ミスです。
もっと早く線を引くべきでした。

これだけ。

説明を足さない。
正当化しない。
相手を納得させようとしない。

淡々と、構造として終わらせます。


まとめ

在宅ケアの断り方は、

NOと言う技術ではありません。

NOを言わなくて済む構造づくりです。

・時間
・量
・距離
・役割

この4つを先に設計する。

強く言わない。
理屈で押さない。
感情もぶつけない。

それでもズレない。

在宅ケアでは、
“感情”より“配置”。

ここを押さえるだけで、
現場はかなり楽になります。


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