身体を触る前に、必ず確認している「生活のズレ」
訪問鍼灸をしていると、
「ちゃんと施術しているのに、また戻る」
「一時的には良くなるけど、数日後に悪化する」
そんなケースを何度も見ます。
結論から言うと、
その多くは“身体の問題”ではありません。
身体に触る前に、
必ず確認しているものがあります。
それが
生活のズレです。
施術が効かない理由は、施術不足ではない
「まだ治療が足りないんじゃないか」
「もっと強く・もっと頻繁にやれば…」
そう考えられがちですが、
現場で起きていることはもっと単純です。
施術で一度は良くなっている。
でも、そのあと
元の生活にそのまま戻っている。
この時点で、結果はほぼ決まります。
- 同じ動線
- 同じ座り方
- 同じ家の配置
- 同じ判断の癖
身体だけ変えても、
生活が変わっていなければ、また戻ります。
身体を見る前に見るのは「動き」
訪問で最初にやるのは、
いきなり身体を触ることではありません。
見るのは例えば、
- 立ち上がり方
- 椅子の位置
- 物を取る時の動線
- 家具の高さや向き
- 介助の入り方
痛みの原因が
筋肉や関節ではなく、
**「その動きを毎日繰り返さざるを得ない配置」**にあることは珍しくありません。
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非日常の配置が、事故と再発をつくる
実際にあった例です。
普段は問題なく生活できていた方が、
ある日だけ転倒しました。
原因を追うと、
- いつもは動かさない椅子を動かした
- 来客に配慮して配置を変えた
- その結果、立ち上がり動作が変わった
身体が急に弱くなったわけではありません。
非日常の配置が、事故をつくっていました。
現場ではよくあります。
筋力不足より先に、
生活動線のズレが起きている。
「治す」より難しいのは「触らない判断」
訪問鍼灸で一番難しいのは、
実は技術ではありません。
- 今日は触らない
- これ以上いじらない
- 施術を増やさない
この判断のほうが、よほど勇気が要ります。
でも、
生活がズレたまま施術だけを重ねると、
- 判断が外に委ねられる
- 「やってもらわないと不安」になる
- 生活は変わらず、依存だけが残る
結果、回復は遠のきます。
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良くするより先に、戻らせない
訪問鍼灸でやっていることは、
「治す」ことではありません。
- これ以上悪化しない配置をつくる
- 同じ動きを安全に続けられるよう整える
- 判断を本人の生活に戻す
良くするより、戻らせない。
この設計ができると、
派手な変化はなくても、状態は静かに安定します。
まとめ|身体の前に、生活を見る
もし、
- 何度も再発している
- 施術直後は楽だが続かない
- 家族も本人も疲弊している
そんな状態なら、
必要なのは「追加の施術」ではないかもしれません。
身体を触る前に、生活を見る。
それだけで、結果は大きく変わります。
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