なぜ正しい判断をしているのに、罪悪感が残るのか――訪問鍼灸で自分を責めてしまうとき
判断は間違っていない。
基準にも沿っている。
むしろ、これまで積み上げてきた考え方通りだった。
それなのに、
あとから強い罪悪感が残ることがあります。
「自分が冷たかったのではないか」
「相手を傷つけたのではないか」
「仕事として失敗だったのではないか」
この罪悪感は、
判断の正しさとは関係なく生まれます。
訪問鍼灸の現場では、
正しい判断をした人ほど、
あとから自分を責めてしまうことがある。
この記事では、
・なぜ正しい判断のあとに罪悪感が生まれるのか
・その罪悪感はどこから来ているのか
・どう向き合えば、現場を続けられるのか
現場の感覚をもとに整理していきます。
現場で判断が伝わらないとき、
多くの場合、こちらの説明が足りないわけではありません。
むしろ、
「ちゃんと説明したのに、なぜか関係がギクシャクする」
この経験のほうが多いのではないでしょうか。
この罪悪感は、
優しさや性格の問題ではなく、
「依存で回る構造」に巻き込まれているだけ
というケースもあります。
背景の構造はこちら。
→訪問鍼灸で「役割を引き受けすぎない」ための考え方――続けるために、施術者が背負わなくていいもの
判断が伝わらない場面で起きていること
訪問の現場では、
こちらが「判断」だと思っているものを、
相手は「気持ち」や「態度」として受け取ることがあります。
たとえば、
- 延長を断った
- できないことをはっきり伝えた
- 頻度や内容を調整した
こうした判断は、
施術者側では「妥当な判断」でも、
相手には「冷たくなった」「拒否された」と映ることがあります。
ここで問題になるのは、
判断の正しさではありません。
判断が、どう伝わったかです。
※ この違和感は「個別判断」の問題ではなく、
判断の前提や構造の話でもあります。判断の全体像を整理した記事はこちら
→在宅鍼灸で悩みが消えない理由|あなたが詰まっているのはどこ?
感情を説明しないほうがいい理由
判断を伝えるとき、
ついこう言いたくなる場面があります。
「こちらも困っていて…」
「正直しんどくて…」
「今まで色々我慢してきたんですが…」
でも、これは多くの場合、
関係を良くする方向には働きません。
理由は単純で、
感情の説明は、相手に理解を求める行為になるからです。
すでに関係が安定している場合を除いて、
感情を理解してもらおうとすると、
- それは仕事でしょ?
- こちらはお金を払っている
- 大変なのはお互い様では?
こうした反応を引き出しやすくなります。
判断を伝える場面では、
感情を共有する必要はありません。
必要なのは、事実と選択だけです。
そもそも、目的が共有されていない場合もある
判断が伝わらない理由として、
もう一つ大きいのがこれです。
「そもそも、同じ目的を見ていない」
・本人は現状維持でいい
・周囲に勧められて始めただけ
・楽になることより、来てもらうこと自体が目的
こうしたケースでは、
こちらがどれだけ丁寧に判断を伝えても、
噛み合いません。
このときにやりがちなのが、
- 正しさを説明する
- 意図を分かってもらおうとする
- 自分の考えを納得させようとする
でも、目的地が違うままでは、
どんな説明も届きません。
この場合に必要なのは、
説得ではなく確認です。
「今、何を一番大事にしていますか?」
「どうなったら良いと思っていますか?」
ここが共有できないなら、
判断以前の問題になります。
関係を壊さない伝え方の共通点
現場で関係が崩れにくい人の判断には、
共通点があります。
それは、
- 感情を乗せない
- 正しさを押し出さない
- 続けられる形だけを淡々と選ぶ
という姿勢です。
「今はここまでが現実的です」
「この形なら続けられます」
「今回はこうしますね」
このくらいの温度感で十分です。
大事なのは、
その判断を、その後も守り続けること。
一貫した関わり方そのものが、
相手への敬意になります。
本当に相手を大事にするということ
相手を大事にすることは、
毎回要望に応えることではありません。
- 継続できる形を選ぶ
- 無理な関係を続けない
- できないことを、早めに線引きする
こうした判断を積み重ねた先に、
はじめて「続く関係」が残ります。
判断を伝えるのが難しいと感じるときほど、
無理に分かってもらおうとしなくていい。
続けられる関わり方を、静かに選ぶ。
それ自体が、十分な伝え方です。
もしこのあたりで迷いが出る場合は、
「判断が正しくても、なぜ苦しくなるのか」
という視点の記事も参考になると思います。
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→「判断フローは合っているのに、なぜ現場で苦しくなるのか」
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→「訪問鍼灸で『判断』をどう伝えるか|関係を壊さないための考え方」
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→「訪問鍼灸の判断基準|延長や頻度の相談で迷わないために」
