在宅ケアが続けられなくなる前に、働き方の上限と線引きの決め方
訪問を続けていると、技術よりもしんどいのは「移動」と「積み重なる疲労」だと感じる人は多いと思います。
私自身、継続率8~9割で長く関係を続けられている一方で、現場の負担が理由で辞めた施術者もたくさん見てきました。
上限を決めず働き続け、気づけば週6で訪問。休憩なし、移動も詰まり、ある日突然動けなくなる。現場では珍しくありません。
良い関係を続けるには、自分の身体が持つことが前提。
今回は「訪問の負担をどう線引きするか」、制度づくりの基準について整理します。
■訪問で実際にしんどいのはどこか
- 雨の日の移動(着替え・靴下の準備)
- 猛暑の自転車移動の体力消耗
- 1日15件を超えた次日に疲れが抜けない
- 腕・首肩に慢性的な負荷
- 片頭痛やあきらかな体調不良が出る
- テンション維持が難しくなり、関係の質が落ちる
- 時間通りに始まらない
- 想定外の相談延長
- 家族対応、関わる人たちへの対応追加
施術の負担だけでなく、
「移動」「疲労の持ち越し」「精神のすり減り」が複合して、
ある日突然キャパを超える。
※こうした「しんどさ」は気合や慣れの問題ではなく、
制度や判断の置き方で蓄積していくものです。
時間のズレや予定の崩れが負担になっている場合は、
こちらの記事で詳しく整理しています👇
→ 在宅ケアで「時間」を軽く扱わない理由
■制度(働き方の基準)として決めるべき3つ
①1日の上限件数を決める
8~10件が現実的なライン。
施術クオリティ・関係性・収入のバランスが取れる。
15~18件回れる時期があっても、
移動中まで頭が仕事で埋まり、休む暇がない状態は長続きしない。
②休憩枠を予定の最初に入れる
「空いたら休む」は絶対に休めない。
体力管理は努力ではなく“制度化”する。
※延長や例外対応が増えて迷い始めたときは、
制度をどう決めるかをこちらで具体的にまとめています👇
→ 延長、例外…どこまで応える?制度を決める基準
③身体のサインを事実として扱う
- 疲れた気がする → 感情
- 体調不良が出た、腕が上がらない → 事実
事実を基準に判断すると、
無理して続けた先の離脱や関係崩壊を防げる。
※身体が先に限界を知らせてくる場面については、
こちらの記事で整理しています👇
→訪問鍼灸を続けるための身体管理|疲労で判断を誤らないために
■よくある意見にも触れておく
成功し始めた訪問事業者が
「こちらの時間を何だと思ってるんだ」と怒る場面を見聞きした場面がある。
気持ちはわかる。
ただ、訪問現場では急な発熱・通院・家族の予定変更など本当に頻繁。
怒りを前提に仕事を組むと、
相手を責める前提で関係が出来上がってしまう。
だからこそ、
「相手を責めないために制度を作る」
これが働き方を続ける原則だと思う。
※突然のキャンセルや変更が続くときは、こちらの記事で具体的にまとめています👇
→ 【訪問鍼灸】突然のキャンセルはどう判断する?
■結論
続けられる働き方とは、精神論でも根性論でもなく、制度で身体と関係を守ること。
- 上限人数を決める
- 休憩を制度化する
- 身体のサインを無視しない
まずは今週の訪問件数を確認し、限界ラインを超えそうなら、翌週から調整を提案してみてください。
※訪問者数は地域性・移動手段・施術スタイルで変わります。あくまで一例として参考にしてください。
患者さんのためにも、自分のためにも、
今日からできる小さな線引きから始めてください。
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→ 在宅ケアで「時間」を軽く扱わない理由
・延長や例外対応の線引きに迷ったとき
→ 延長、例外…どこまで応える?制度を決める基準
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→訪問鍼灸は「長くするより回数」/延長より頻度を優先するべき理由
・突然のキャンセルや変更が続くとき
→ 【訪問鍼灸】突然のキャンセルはどう判断する?
・関係性のズレや違和感を感じたとき
→ 正しいはずなのに噛み合わない――判断がズレる瞬間
・判断全体を体系的に整理したいとき
→ 在宅ケアが続く働き方の基礎(まとめ記事)
