在宅鍼灸師の実務ノートを始めた理由

このブログは、在宅鍼灸・訪問ケアの現場に関わる施術者、
特に 新卒〜中堅で、働き方や進路に迷いを感じている人 に向けて書いています。

技術の話だけではなく、
制度、実務、働き方、立場の違いによる判断の揺れ。

現場で実際に迷い、困り、遠回りしてきた経験をもとに、
「当時の自分が読みたかったもの」 を形にしていくつもりです。


業界に入った頃の「当たり前」に感じていた違和感

私は高校を卒業してすぐ、この業界に入りました。

当時、周囲では
「いずれは整骨院を開業する」
「開業資金は1000万円くらいは必要」
といった話が、半ば常識のように語られていました。

それは夢というより、
そうならなければ一人前ではない
という空気に近かったように思います。

けれど実際に現場に出て、
さまざまな勤務形態や立場の人と関わる中で、
その“常識”は決して唯一の答えではないと気づきました。

雇われる働き方もあれば、
業務委託という曖昧な立場もある。
いきなり治療院を構える開業だけでなく、
訪問を中心に、小さく始める開業の形もある。

それでも当時は、
「まずは治療院を持つこと」
「それなりの初期投資をすること」
が、半ば前提のように語られていました。

実際には、もっと段階的で、
自分の立場や価値観に合わせた関わり方があっていい。

そう思えるようになるまでに、
私自身、かなり遠回りをしたと思います。

それなのに、
そうした選択肢が体系的にまとまった情報は、
ほとんど見つかりませんでした。


教科書がなかった在宅ケアの現場

在宅ケアの現場で働くようになってから、
「治療院」という言葉に、少し距離を感じるようになりました。

それは場所の問題というより、
自分は医師ではないのに、「治療」という言葉を前提にしていいのか
という感覚が、次第に強くなっていったからです。

在宅の現場では、
症状だけを切り取って介入できることはほとんどありません。

生活があり、家族があり、
その人なりの事情や選択があります。

そこで自分がしているのは、
「治す」ことよりも、
生活の中でできることを一緒に探すこと に近いと感じています。

だからこのブログでも、
治療を前提とした話ではなく、
在宅ケアの現場で 何を考え、どう判断してきたか
言葉にしていきます。

このブログは、
そのときの自分が欲しかった “教科書” を、
後から書き起こしている感覚に近いかもしれません。


このブログで書いていくこと

このブログでは、次のような内容を扱っていきます。

  • 在宅鍼灸の現場で、実際に困ったこと・迷ったこと
  • レセコンや制度、書類対応などの実務
  • 業務委託・自営・法人との関わり方
  • 収入や働き方についての現実的な話
  • 遠回りしてきたからこそ見えた判断基準

正解を示すつもりはありません。
ただ、選択肢があること
そして 考え方には幅があること を残していきたいと思っています。


最後に

このノートは、
誰かを導くためのマニュアルではありません。

かつての自分のように、
現場で迷いながらも前に進もうとしている人が、
少し立ち止まって考えるための材料になればいい。

そんな気持ちで、このブログを書いていきます。


この業界での向き・不向きについては、次の記事で整理しています。

▶︎ 鍼灸・リハ業界に向いている人、向いていない人

実際の現場で起きるズレについては、次の記事で具体的に書いています。

▶︎ 正しいはずなのに噛み合わない ― 在宅鍼灸・訪問ケアで判断がズレる瞬間