訪問鍼灸で『判断』をどう伝えるか|関係を壊さないための考え方
訪問鍼灸の現場では、判断自体は間違っていない。
延長を断る。
頻度を下げる。
今日は対応できないと伝える。
判断自体は間違っていない。
フロー的にも、制度的にも、体力的にも正しい。
それでも、
伝えた瞬間に空気が変わったり、
関係がぎくしゃくしたりすることがあります。
一方で、
同じ判断でも、問題なく受け取られるケースもある。
この違いは、
“判断の正しさ”ではなく、
「どう伝えたか」「そもそも関係が成立していたか」
にあります。
この記事では、
判断を伝えるときに意識している考え方と、
それでも無理だったケースを含めて整理します。
判断をどう伝えるかを考える前に、
そもそも「なぜ判断が伝わらないのか」という構造を整理しておく必要があります。
→ 訪問鍼灸で判断が伝わらない理由
(説明しても分かってもらえない構造)
施術者の「感情」を説明しない、という判断
判断を伝えるとき、
自分の感情まで説明したくなる場面があります。
「正直しんどくて」
「これ以上続くと困っていて」
「こちらも限界で」
しかし、現場経験上、
施術者側の感情を説明することが、
必ずしも関係を良くするとは限りません。
感情を説明すると、
・言い訳に聞こえる
・説得されたと感じられる
・立場の違いが強調される
ことがあります。
判断は、
理由を“簡潔に”伝えるだけで十分な場合が多い。
感情は、理解してもらうための材料ではなく、
自分の中で整理するためのものだと考えています。
※判断自体は合っているのに、なぜ現場で苦しくなるのかについては、
こちらの記事で詳しく整理しています。
→判断フローは合っているのに、なぜ現場で苦しくなるのか
伝え方を工夫しても、関係が成立しないことはある
伝え方を意識しても、
判断したあとに気持ちが重く残ることがあります。
その感覚は、伝え方の失敗ではなく、
判断後の心の揺れとして自然に起きるものです。
→ 判断したあとに苦しくなる理由/「これで良かったのか?」が消えないとき
以前、
時間を守られない、到着後に長く待たされるといったことが続き、
「こういう状況は正直困っている」と伝えたことがあります。
ただ、その時点で、
関係性そのものがすでに崩れていました。
こちらの説明に対して、
「それが仕事でしょ?」
「こちらは客だぞ」
と、言葉には出さなくても、
そういう空気を強く感じました。
このケースでは、
伝え方の問題ではなく、
そもそも対等な関係が成立していなかった。
そう判断して、離脱しました。
判断をどう伝えるか以前に、
“伝え合える関係かどうか”を見極める必要がある。
そう痛感した経験です。
※関係性そのものに違和感があるときはこちらの記事で詳しく整理しています。
→ 敬意が成立しない関係から離れるという判断
そもそも「目的地」が共有されていないケース
別のケースでは、
本人の希望ではなく、
周囲の勧めで訪問を始めた方がいました。
この場合、
私と本人のあいだで、
「何を目指すのか」
「どこをゴールにするのか」
が共有できていませんでした。
結果として、
こちらの判断や正しさを説明しすぎてしまい、
かえって噛み合わなくなった。
今振り返ると、
判断を伝える以前に、
目的地の確認が抜けていたと感じています。
目的地が違うままでは、
どんなに丁寧に判断を伝えても、
納得にはつながりません。
※判断を伝えても噛み合わない背景には、
「期待・前提・役割」のズレが隠れていることがあります。
→ 訪問鍼灸でズレが生まれる理由――「期待・前提・役割」が食い違う瞬間
判断を伝える前に、確認していること
判断を伝える前に、
いまは次の点を意識しています。
・この人は、そもそも施術を望んでいるか
・目的地は共有できているか
・こちらの判断を受け取れる関係か
・説明が必要なのか、結論だけでいいのか
ここが曖昧なまま判断を伝えると、
伝え方以前に、関係が壊れやすい。
判断は「伝え方の技術」ではなく、
関係性の上にしか乗らないものだと思っています。
・判断は合っているのに、なぜ罪悪感や引っかかりが残るのか
→「なぜ正しい判断をしているのに、罪悪感が残るのか」
まとめ
判断をどう伝えるかは大切です。
ただし、それ以上に重要なのは、
「伝える土台があるかどうか」。
感情を説明しすぎない。
正しさで押さない。
目的地を先に揃える。
それでも噛み合わない場合は、
伝え方ではなく、
関係そのものを見直すサインかもしれません。
そもそも、
「判断が伝わらない関係性」自体が
依存で成り立っていることも少なくありません。
その構造的な話はこちら。
→ 訪問鍼灸で「役割を引き受けすぎない」ための考え方――続けるために、施術者が背負わなくていいもの
関連記事(迷ったときはこちら)
・判断そのものに迷うとき
→ 判断フローは合っているのに、なぜ現場で苦しくなるのか
・判断を伝えても噛み合わないとき
→ 訪問鍼灸でズレが生まれる理由――「期待・前提・役割」が食い違う瞬間
・関係性そのものに違和感があるとき
→ 敬意が成立しない関係から離れるという判断
・判断の立ち位置そのものがズレている可能性があります。
→在宅鍼灸で悩みが消えない理由|あなたが詰まっているのはどこ?
