鍼灸整骨院のヒヤリハット|待たせている焦りが、火気の条件を緩めた日
①この記事で避けられること(読む理由)
この記事では、
・待ち時間や指名対応の焦りで施術条件を緩めてしまうこと
・火気を使う場面で「これくらいなら大丈夫」と判断してしまう流れ
・信頼関係がある患者さんほど、確認や条件設定が甘くなる状況
を避けるための判断を置いています。
②誰向けか
・鍼灸整骨院で働いている人
・火気を使う施術をしている人
・指名患者さんが多く、待ち時間が発生しやすい人
③現場の前提
鍼灸整骨院で働いていた時の話です。
当時は指名で担当する患者さんが多く、
他の施術者には任せず、
かなり待ってでも施術を受けてくださる方が何人かいました。
その日も、そうした患者さんが重なっており、
1時間以上お待たせする方が出るような日でした。
他の施術者は空いていても、
その患者さんたちは待ってくださっていました。
待たせていることへの申し訳なさがあり、
自分の中でも少し焦りが出ていたと思います。
その患者さんは、
精神的に不安定さのある方で、
施術者への信頼が強く、
他の人には任せたくないというタイプの方でした。
また、お灸、特に筒灸を好まれる方でもありました。
④起きたこと
その日は寒い日でした。
患者さんも服をあまり脱ぎたくない様子で、
「寒いから薄着にはなりたくない」
という流れがありました。
そこで、服の上からバスタオルで覆いながら、
筒灸を使って施術をしていました。
施術中、その患者さんはよく眠られる方で、
その時も眠っておられました。
ところが途中で急に覚醒し、
体がぱっと動きました。
その拍子に筒灸が倒れました。
皮膚には倒れず、
火傷にはなりませんでしたが、
バスタオルが焦げました。
⑤違和感(ヒヤリ)
この時に怖かったのは、
焦げたのがバスタオルで済んだことではありません。
もし服に倒れていたらどうなっていたか
もし皮膚に倒れていたらどうなっていたか
ということでした。
また、
もし動いても倒れにくい灸を選んでいたらどうだったか、
服をきちんと外してもらっていたらどうだったか、
そもそも待たせている焦りがなければ、
条件を緩めずに済んだのではないか、
ということも残りました。
今回のヒヤリは、
患者さんが急に動いたことだけではありません。
急がされる状況の中で、
火気を扱う条件を少しずつ甘くしていたことが問題でした。
⑥減らせる判断
火気を使う時は、信頼関係や待ち時間を理由に条件を緩めない
患者さんとの関係ができていると、
こちらも「このくらいなら大丈夫」と判断しやすくなります。
また、待たせている人が多い時ほど、
なるべくその場をスムーズに進めようとして、
本来なら整えるべき条件を省きやすくなります。
しかし、火気を扱う施術では、
少しの省略がそのまま事故につながります。
服をどうするか、
タオルの位置は安全か、
患者さんが動く可能性はないか、
使う灸の種類は適切か。
こうした条件は、
関係性や流れではなく、
安全基準で決める必要があります。
⑦今ならどうするか
今なら、
火気を使う施術では、
待ち時間が長い日でも条件を緩めません。
・服や周囲の可燃物の位置を確認する
・急な動きがあった時に倒れにくい方法を選ぶ
・眠る可能性があるなら、なおさら火気の扱いを慎重にする
・寒さへの配慮と安全条件を分けて考える
必要であれば、
その日の施術内容自体を調整します。
待たせていることへの申し訳なさより、
事故を起こさないことの方が優先です。
まとめ
このケースで残す判断は1つです。
急いでいる日ほど、火気の条件は緩めない
信頼されている患者さんほど、
こちらも流れで判断しやすくなります。
しかし、
信頼関係は安全条件を下げてよい理由にはなりません。
火気を使う施術では、
忙しさ、待ち時間、関係性とは別に、
毎回条件を整え直す必要があります。
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