整形外科リハのヒヤリハット|「怒ってる人」にされた話

この記事は、
指名制の現場で、
何もしていないのに「怒っている人」にされてしまった話
です。

避けられるのは、
・感情の誤解
・役割の押し付け
・説明不足が生む人間関係の事故
です。


現場の前提

10年以上前、整形外科で勤務していた頃の話。

・常に多忙な現場
・PT4人、柔道整復師・鍼灸師4人
・リハ1単位25分のところ、実質10分
・1日40〜50人対応
・余白なし
・指名制
・指名数がそのまま評価と給与に直結

患者は、
1階受付で「担当してほしい施術者の札」を取る。

札には番号が振られ、
誰が人気か、何番待ちかが一目でわかる。

自由に選べるが、
感情が可視化される制度
だった。


人員崩壊と役割の歪み

自分が入って3ヶ月で、
柔道整復師・鍼灸師の先輩3人が全員退職。

残ったのは、
自分と、急遽入った60歳前後のベテラン1人。

柔整部門の患者120〜140人を、
実質2人で回す状況になった。

新人が入るまでの数ヶ月、
過密と役割過多が常態化していた。


指名が外れたこと自体は、気にしていなかった

その後、新人が入り、
現場は再び4人体制に戻った。

指名制も元に戻り、
自分を指名していた患者の一部が、
別の施術者を指名した。

正直、
よくあることだと思っていた。

忙しさもあり、
こちらから特に触れることはなかった。


違和感が表に出た瞬間

久しぶりにその患者と顔を合わせ、
「こんにちは」と声をかけた。

無視された。

「嫌な感じやな」
それくらいにしか思っていなかった。

しかし後日、
他の患者からこう聞いた。

「あなた、
指名されなかったことに怒ってるって
言われてるで」

さらに、

「だから私も無視することにした」

という話まで広がっていた。


ヒヤッとした本当の理由

危なかったのは、
指名が外れたことではない。

危なかったのは、
感情の整理をしないまま、
関係を放置した判断

自分は怒っていなかった。
しかし、

・説明しなかった
・フォローしなかった
・距離設計をしなかった

結果、
「怒っている人」という役割が、
他人の中で自動生成された。

指名制という制度では、
沈黙は中立にならない。

沈黙は、
相手の物語で補完される。


今なら、ここで判断を入れる

今の判断OSなら、
指名制に戻った瞬間で一度、関係を整理する。

例えば、

「指名変えてもいいんですよ。
気にせずに、他の先生にしっかり診てもらってください。
必要な時は、またいつでも言ってくださいね。」

この一言を入れるだけで、
事故は防げた。


まとめ

この話の失敗は、
人間関係でも、
性格の問題でもない。

感情が生まれる制度の中で、
説明と距離設計を省いた判断。

指名制の現場では、
放置=中立ではない。

説明しないと、
感情は勝手に割り当てられる。


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