雪山救護のヒヤリハット|腫れていない骨折

この記事は、雪山救護の現場で
**「歩いて来た=大丈夫」**になりかけた話です。

避けられるのは、
・見た目が軽い外傷を軽症扱いすること
・「腫れてない」「変形ない」で判断を終えること
・子どもの骨折を“静かな痛み”として見落とすこと
です。


現場の前提

ハーフパイプがあるスキー場で、スノーボード客が多い場所でした。
外傷として多いのは、

・コーレス骨折
・肩関節脱臼
・肩鎖関節脱臼
・鎖骨骨折
・腓骨遠位骨折

この日も、外傷が続いていました。


歩いて来た14歳

14歳の男の子が、歩いて救護室に来ました。

友達と滑っていて転倒。
手をついてから手首が痛い、と。

滑り始めてすぐ。初心者。

大きな腫脹はなし。
変形もなし。
顔色も悪くない。

正直、最初に頭をよぎったのは、

「大丈夫そうやな」

でした。

雪山では、重症っぽい外傷は
搬送用のソリやスタッフ介助で運ばれてくることが多い。
歩いて来る外傷は、軽いことも多い。

でも、触ってみると違いました。


見た目は軽い。でも圧痛が“典型”

腫れていない。変形もない。

ただ、
橈骨遠位に一点だけ、はっきりした圧痛がありました。

場所が嫌だった。

骨折の圧痛が出る時、
出やすい“あの辺”に出ていた。

年齢は14歳。

「若木骨折あるかもしれん」

そう思って、
一緒に働いていたスタッフにも相談しました。


その場の判断

この時点で出来ることは限られていました。
当時は超音波診断みたいな機械もありません。

だから判断は、

・包帯固定
・骨折の可能性があることを説明
・下山して病院へ

にした。

後日、レントゲン画像を送ってもらいました。

やっぱり若木骨折でした。


ヒヤッとした本当の理由

当たったから偉い、という話ではない。

ヒヤッとしたのは、

歩いて来て、腫れてなくて、変形もない外傷を
「まあ大丈夫」で流しかけたこと
です。

子どもの骨折は、静かに来ることがある。

・腫れが目立たない
・変形が出ない
・動かせる
・歩いて来る

それでも折れている。


減らせる判断

この話で減らす判断はこれです。

「歩いて来たから大丈夫」を採用しない

見た目が軽い外傷ほど、
一度判断を戻す。

そのために見るのは、

腫れや変形より、“一点の圧痛”


まとめ

雪山の救護は、外傷が続く。
回転を早くしたくなる。

でも、歩いて来た外傷ほど油断する。

歩いて来て、腫れてなくて、変形もない。
それでも骨折はある。

「大丈夫そう」になった瞬間に、
判断を一段戻す。

それだけで、見落としはかなり減る。


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