訪問鍼灸の判断|本人の訴えを、そのまま家族評価に使わない

①この記事で避けられること(読む理由)

この記事では、
・本人の「家族が来てくれない」「何もしてくれない」という訴えを、そのまま家族評価に使ってしまうこと
・支援者や施術者が中途半端な共感で家族とのわだかまりを増やしてしまうこと
・本人の感情と事実確認を分けずに介入してしまうこと

を避けるための判断を置いています。

②誰向けか

・訪問鍼灸をしている人
・訪問看護、介護職など、本人と家族の両方に関わる人
・本人の訴えと家族の実際の動きが噛み合わない場面をよく見る人

③現場では「家族が何もしてくれない」という訴えは珍しくない

施設でも在宅でも、
本人から

「家族が来てくれない」
「何もしてくれない」
「ひどい子どもたちだ」

という訴えを聞くことがあります。

こういう話は、
支援の現場では珍しくありません。

しかも、
その言い方がかなり強いこともあります。

そのため、
関わり始めた側はつい
「家族関係が悪いのかもしれない」
「本当に何もしていないのかもしれない」
と受け取りやすくなります。

④起きがちなこと

ただ、実際に関わっていると分かることがあります。

家族は家族で、
かなりちゃんと動いていることがある。

面会に来ている。
必要な手続きをしている。
買い物や受診の調整もしている。
施設や支援者とも連絡を取っている。

それでも本人は、
「来てくれない」
「何もしてくれない」
と訴えることがあります。

この時、
本人が嘘をついている、と単純に切るのも違います。

行動制限がある。
認知機能が落ちている。
感情の向かう先が少ない。
不満や寂しさを受け止めてもらえる場所が家族しかない。

そういう条件が重なると、
本人にとっては
「来ていない」「何もしてくれない」と感じること自体は事実
になります。

⑤違和感(判断が必要な場面)

ここで難しいのは、
本人の訴えが感情としては本物であっても、
それをそのまま家族の評価には使えないことです。

本人はそう感じている。
それは軽く扱わない方がいい。

でも同時に、
家族が本当に何もしていないのかは別で見る必要があります。

この2つを分けないまま、
支援者や施術者が

「家族はもっと来た方がいいのでは」
「もう少ししてあげてもいいのでは」

という空気を出したり、
家族に対して微妙な圧をかけたりすると、
その場では正しいことを言っているつもりでも、
関係だけが悪くなります。

⑥減らせる判断

本人の訴えは受け取る。家族評価は別で見る。

この切り分けがかなり大事です。

本人の
「来てくれない」
「何もしてくれない」
は、まず感情として受け取る。

「そう感じるんですね」
「寂しいんですね」
「そう思うくらいしんどいんですね」

ここまでは必要です。

ただ、その次に
「だから家族が悪い」
にすぐ行かない。

本人の感情の事実と、
家族の行動の事実は、
同じではありません。

ここを混ぜると、
支援者の中途半端な介入だけが残ります。

⑦本人と家族は、背景が違う

本人には本人の時間があります。

できなくなったこと。
動けなくなったこと。
待つ時間が長いこと。
会いたい時に会えないこと。

その中で、
寂しさや怒りが家族に向きやすくなることはあります。

一方で家族には、
家族の生活があります。

仕事、家庭、距離、疲労、
もともとの関係、
罪悪感、
できる範囲でやっている実感。

この背景は、
本人と家族で全く違います。

だから、
本人と家族は、
同じ出来事を全く違う意味で見ていることがあります。

ここを見ずに
「本人がそう言っていたから」
だけで支援者が家族に触ると、
わだかまりだけが増えます。

⑧優しいだけでも足りない

ここで誤解しやすいのは、
本人の訴えをただ受け止めて終わればいい、
という話でもないことです。

本人が家族への不満を強く訴える時、
必要なのは
「そうですよね」と全面的に乗ることではありません。

必要なのは、
感情を受け止めながら、
家族評価とは切り離すことです。

たとえば、

・「そう感じるんですね」
・「寂しいですよね」
・「今はそう思うくらいしんどいんですね」

とは言っていい。

でも、
そこから先は
「家族も実際にはどう動いているか」
「今ここで何を調整すべきか」
を別で見た方がいいです。

⑨今ならこう対応する

今なら、
本人が家族への不満を訴えた時は、
まず感情として受け取ります。

ただし、その場で家族評価はしません。

先に見るのは、

・本人は何を求めているのか
・寂しさなのか、不安なのか、怒りなのか
・家族は実際にはどう動いているのか
・ここで自分が家族に介入する意味はあるのか

このあたりです。

そして、
自分が中途半端に入ることで
本人と家族の間に余計な線を引くだけなら、
そこは触りすぎないようにします。

想像力が低いまま、
分かったつもりで家族に介入すると、
残るのは支援ではなく、わだかまりです。

まとめ

この記事で残す判断は1つです。

本人の訴えは受け取る。でも、そのまま家族評価には使わない。

本人が「来てくれない」と感じていることは、
その人の中では事実です。

でも、それと
家族が本当に何もしていないかどうかは別です。

支援者や施術者がそこを混ぜると、
中途半端な共感だけが残って、
関係を悪くしやすくなります。

だからこそ、
感情を受け取ることと、
家族を評価することは分けて考える必要があります。


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