営業に来た人と施術に来る人が違う不安|施設が安心しにくい訪問施術の入口

訪問鍼灸・訪問マッサージの営業で、施設へ挨拶に行くことがあります。

サービス内容を説明する。
施設側の希望を聞く。
訪問時間や報告方法を相談する。
認知症のある方への関わり方を確認する。

営業担当者との話が丁寧であれば、施設側も「この人なら安心して任せられそう」と感じます。

ただ、実際に施術へ来た人が、営業担当者とは別の人だった場合、施設側には不安が残ることがあります。

営業時に伝えたことは引き継がれているのか。
施設のルールを理解しているのか。
認知症のある方への配慮はできるのか。
何かあった時は誰に連絡すればよいのか。

施術者が変わること自体が問題なのではありません。

問題になるのは、施設側が「誰が来るのか」「何が引き継がれているのか」「誰が責任を持つのか」を分からないまま、訪問が始まることです。

この記事では、営業担当者と実際に訪問する施術者が違う時に、施設側が感じやすい不安と、訪問開始前に整えておきたい引き継ぎを整理します。

営業方法の話ではなく、施設が安心して外部施術者を受け入れるための入口を考える記事です。

施設が安心するのは、話した人と来る人がつながっている時

施設側からは、営業に来た人と施術に来る人が同じだと安心しやすい、という声があります。

理由は単純です。

施設の考えや利用者さんの状態を、すでに本人へ伝えられているからです。

施設側が営業担当者に伝える内容は、利用開始の手続きだけではありません。

本人さんの性格。
認知症の状態。
嫌がりやすい関わり。
職員さんへの報告方法。
施術場所や訪問時間。
家族さんとの連絡方法。

こうした細かな情報を伝えた相手がそのまま訪問するなら、施設側は「話がつながっている」と感じられます。

営業担当者と施術者が同じ場合 別の施術者が来る場合の不安
施設の説明を本人が聞いている どこまで伝わっているか分からない
人柄や話し方を確認できている 実際に来る人の関わり方が分からない
質問や相談の相手が明確 営業担当と施術者のどちらに連絡するか迷う
説明と実際の対応が一致しやすい 営業時の話と現場対応が違う可能性がある

小規模な個人事業であれば、営業から施術まで同じ人が担当することも多いです。

一方で、複数の施術者が在籍する事業所では、営業担当者と施術担当者が違うこともあります。

どちらが良いという話ではありません。

担当者が違うなら、違うことを最初に伝え、施設側が不安にならない形でつなぐ必要があります。

担当者が違うことより、引き継ぎが見えないことが不安になる

営業担当者と施術者が違っても、必要な情報が引き継がれていれば、大きな問題にならないことがあります。

施設側が不安になるのは、引き継ぎが見えない時です。

営業時に説明したことを、初回訪問でまた最初から聞かれる。
決めた訪問時間を施術者が知らない。
施設の報告ルールが伝わっていない。
本人さんが苦手な関わりを繰り返す。
家族さんと直接話した内容を施設が知らない。

こうしたことがあると、施設側は「事業所内で情報共有ができていない」と感じます。

施設側から見える出来事 生まれやすい不安
初回訪問で同じ説明を求められる 営業時の話が引き継がれていない
施術場所や時間を知らない 施設ルールを軽く見られている
報告せずに帰る 事前に決めた共有方法が伝わっていない
営業時と違う説明をする 誰の説明が正しいのか分からない

施設側から見た訪問鍼灸の不安は、施術技術だけで決まるものではありません。

何をしているのか、誰が責任を持つのか、情報がどこにつながっているのかが見えることも大切です。

施設側が「何をしているか分からない外部職」を勧めにくい理由については、こちらの記事で整理しています。

施設側から見た訪問鍼灸|「何をしているか分からないもの」は勧めにくい

施術者へ引き継いでおきたいこと

担当施術者へ引き継ぐ情報は、病名や施術内容だけではありません。

施設で継続して関わるためには、生活の場に入る外部職として必要な情報も伝えておく必要があります。

引き継ぎたいこと 具体的な内容
本人さんの状態 痛み、動作、認知機能、拒否や不安が出やすい場面
本人さんへの関わり方 声量、説明の長さ、触れる前の確認、苦手な対応
施設内のルール 訪問時間、施術場所、入退館方法、使用してよい場所
報告方法 誰に、いつ、何を、どの方法で共有するか
家族さんとの連絡 直接連絡してよい内容、施設にも共有する内容
緊急時の連絡 体調変化時に誰へ連絡するか

特に認知症対応型の施設では、本人さんへの関わり方が引き継がれているかどうかが重要です。

営業担当者が丁寧に施設の話を聞いても、実際の施術者が大きな声で話したり、本人さんへの説明を職員さんへ任せたりすると、施設側の安心は失われます。

認知症対応型施設で困られやすい関わりについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

訪問施術者の声が大きい・説明を施設に丸投げする|認知症対応型施設で困られる関わり

引き継ぎは、営業内容を施術者へ渡すだけではありません。

施設側が何を不安に感じ、何を大切にしているかまで共有することが必要です。

初回訪問で施術者本人が確認したいこと

事業所内で引き継ぎをしていても、初回訪問では施術者本人が施設側へ確認した方がよいことがあります。

ただし、すでに営業担当者へ伝えた内容を、すべて最初から聞き直す必要はありません。

引き継いだ内容を示したうえで、認識が合っているか確認します。

たとえば、次のように伝えられます。

「担当の者から、施術後はフロアの職員さんへ一言お伝えすると聞いています。この形で大丈夫でしょうか」

「施術場所はこちらの居室で、時間は毎週火曜日の午後と引き継いでいます」

「ご本人には短く説明してから触れることと、大きな声を避けるよう聞いています」

このように、引き継ぎ内容を先に示すと、施設側は話がつながっていることを確認できます。

初回訪問で確認すること 確認の仕方
訪問時間と施術場所 引き継いだ内容を伝え、変更がないか確認する
本人さんへの配慮 当日の状態や、避けたい関わりを聞く
施術後の共有先 誰に一言伝えればよいか確認する
体調変化時の対応 施術を中止した時の連絡先を確認する

初回訪問で大切なのは、施術者が一から営業をやり直すことではありません。

営業担当者から聞いていることを示し、施設側との認識をそろえることです。

施設への報告先や共有方法については、こちらの記事でも整理しています。

施設に入る訪問施術者に必要な報告ルール|施設側が目安を作る意味

何かあった時の連絡先を曖昧にしない

営業担当者と施術者が違う場合、施設側が迷いやすいのが連絡先です。

訪問時間を変更したい時は、誰に連絡するのか。
施術者の関わり方で気になることがあった時は、誰に伝えるのか。
担当者を変更してほしい時は、誰が対応するのか。
家族さんから質問があった時は、誰が答えるのか。

施術者本人へ連絡するのか、営業担当者へ連絡するのか、事業所へ連絡するのかが分からないと、施設側は相談しにくくなります。

連絡内容 窓口の例
当日の遅刻・時間変更 担当施術者または事業所
施術後の状態や日々の共有 担当施術者
契約・料金・担当者変更 営業担当者または事業所責任者
関わり方への不安や苦情 事業所責任者

窓口は事業所ごとに違っても構いません。

大切なのは、施設側が「この内容は誰へ伝えればよいか」を迷わないことです。

また、担当施術者が変更になる時は、施設側へ事前に知らせた方が安心です。

何も伝えず、ある日突然別の施術者が来ると、施設側はその人を受け入れてよいのか判断できません。

担当者が変わる時は、

「次回から担当が変わります」
「これまでの施術内容と施設ルールは引き継いでいます」
「初回は責任者も一緒に伺います」

など、変更と引き継ぎが分かる形にします。

家族さんとの連絡と施設への共有をどう分けるかについては、こちらの記事で整理しています。

訪問施術者は家族と直接やり取りするべきか|施設を通すこと・通さないこと

まとめ

訪問鍼灸・訪問マッサージでは、営業担当者と実際に訪問する施術者が違うことがあります。

担当者が違うこと自体が問題なのではありません。

施設側が不安になるのは、

誰が来るのか分からない。
営業時に話したことが引き継がれているか分からない。
施設のルールを理解しているか分からない。
何かあった時に誰へ連絡するか分からない。

という状態です。

担当施術者が違う場合は、最初にそのことを伝える。

本人さんへの配慮、施設内のルール、報告方法、家族対応まで引き継ぐ。

初回訪問では、引き継いだ内容を施術者本人の口から確認する。

日々の連絡先と、事業所としての責任者を分けて示す。

これだけでも、施設側の安心は変わります。

営業で信頼を作っても、実際の施術者へつながらなければ意味がありません。

施設が見ているのは、営業担当者一人の印象ではなく、事業所として同じ関わりができるかどうかです。

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