訪問施術中に急な機能低下を見つけたら|診断できない施術者が医療へつなぐまで

診断はできない。

しかし、普段より明らかに動けなくなっている人を見て、何も伝えず帰ることもできない。

訪問鍼灸・訪問マッサージでは、この間で迷うことがあります。

今回関わったのは、もともと身体能力が低く、自宅では寝たきりに近い生活をしていた80代の女性です。

以前から身体は左へ傾きやすく、左足も前へ出にくい状態でした。立位や歩行には強い介助が必要で、自力での起き上がりも困難でした。

そのため、

  • 左へ傾いている
  • 左足が出ない
  • 歩けない

という所見だけでは、急に起きた問題なのか、以前からの機能低下なのかを分けられません。

今回問題になったのは、症状があるかどうかではありませんでした。

数日間で、起き上がり・立位・歩行に必要な介助量が一段ずつ増えていたことです。

家族へ受診を勧めても、本人を起こせない、車がない、救急車には抵抗があるなど、すぐには医療へつながれない事情もありました。

この記事では、訪問施術中に急な機能低下を見つけた時、何を確認し、どこで施術を止め、家族・ケアマネジャー・医療へどう渡したかを整理します。

病名を当てるための記事ではありません。

訪問施術者として、どこまで自分が担い、どこから先を判断できる人へ渡すかを考える記事です。

個人が特定されないよう、年齢や周辺情報の一部をぼかしています。

また、明らかな緊急性がある場合は、この記事にある段階的な連携を当てはめず、救急要請を優先する必要があります。

診断できなくても、普段との差は拾える

訪問施術者は、医師のように検査を行い、病名を確定する立場ではありません。

しかし、定期的に訪問しているからこそ分かることがあります。

  • 前回は、どこまで起き上がれたか
  • どの程度の支えで立てたか
  • どこまで歩けたか
  • いつもはどちらへ傾いていたか
  • 本人や家族が、普段どの程度介助していたか

一回の訪問だけを切り取ると、重い機能低下に見える人でも、継続して見ていれば「以前からあったこと」と「今回変わったこと」を分けられます。

訪問施術者が判断できないこと 定期訪問だから分かること
病名の確定 前回との動作の違い
検査値や画像所見 必要な介助量の変化
急性疾患の除外 いつもの姿勢や歩き方
搬送後の治療方針 家族が普段できていた介助
入院の必要性 数日間での変化の方向

診断できないことと、何も分からないことは同じではありません。

訪問施術者が持っているのは、検査結果ではなく、普段との比較材料です。

介護職さんが生活の中で見た変化を、どのように訪問施術者へ伝えるかについては、こちらの記事で整理しています。

介護職が訪問施術者に伝えると助かる情報|痛み・移乗・トイレ動作の見方

もともとの機能が低い人ほど、急変か廃用かを分けにくい

今回の女性は、体重が30kg台前半で、強い円背がありました。

立位や歩行では、身体が二つ折れに近い姿勢になります。

認知機能低下も強く、施術者を同級生と誤認することがありました。自宅では夫が主介護者でしたが、本人の暴言などもあり、介護負担は大きい状態でした。

この1〜2年で自立歩行が難しくなり、自力での起き上がりもできなくなっていました。

週3回、30分の訪問では、トイレまで移動する機能をできるだけ落とさないことを目的に、起立・歩行練習を行っていました。

平地歩行には強い介助が必要です。

一方で、強い円背があるため、平地よりも両手すりを使った階段昇降の方が動作を成立させやすく、約1年間継続していました。

以前から、次の状態がありました。

  • 座位・立位とも左側へ傾きやすい
  • 左下肢が前に出にくい
  • 立位・歩行には強い介助が必要
  • 起き上がりは一人ではできない

これらは、今回初めて出たものではありません。

そのため、「左に傾いているから脳血管障害ではないか」「左足が出ないから麻痺ではないか」と、所見の有無だけで判断することはできませんでした。

以前からあったこと 今回新しく問題になったこと
左へ身体が傾きやすい 左への崩れを支える量が増えた
左足が前へ出にくい 以前より振り出しが成立しにくい
強い介助で歩いていた 同じ方法でも歩行が難しくなった
一人では起き上がれない 家族の力でも起こすことが難しくなった
全体的な筋力低下がある 数日単位で介助量が増えた

もともとの能力が低い人ほど、「できる・できない」だけでは変化を捉えにくくなります。

見る必要があるのは、症状の有無だけではありません。

同じ動作を成立させるために、前回よりどれだけ多くの介助が必要になったかです。

今回の判断材料は、数日で介助量が増えたこと

8月3日は、強い介助が必要でしたが、何とか玄関付近まで歩行できていました。

翌8月4日の訪問では、前日よりも立位・歩行時の支えが多く必要でした。

施術者が左側に入り、身体が左へ崩れるのを支えます。

本人には両手で手すりを持ってもらい、何とか短い距離を歩くことができました。

この時に確認した範囲では、次の状態でした。

  • 座位で下肢を自分で動かせる
  • 左右の膝を持ち上げられる
  • 上肢も動かせる
  • 下肢運動による明らかな疼痛がない
  • 股関節、大転子、骨盤周辺に明確な圧痛がない
  • 転倒や打撲の情報がない

左脚が完全に動かない状態ではありませんでした。

体幹と骨盤が左へ崩れ、左下肢へ荷重し続けるため、右側へ重心を移せず、歩行時に左脚を振り出せない状態に見えました。

少なくとも、その場で確認した範囲では、強い疼痛による荷重不能や、明らかな外傷を示す情報は乏しい状態でした。

ただし、それだけで「問題はない」とは言えません。

その後、家族から、

自分たちの力では、起こすことが難しくなった

という話がありました。

8月3日には、強い介助で玄関付近まで歩けた。

8月4日には、左側から身体を支え、両手で手すりを持ってもらわなければ短距離歩行が難しかった。

その後は、家族の力では起こすこと自体が難しくなった。

時点 動作の状態 必要だった介助
8月3日 玄関付近まで何とか歩行 強い介助
8月4日 短距離歩行は可能 左側からの支持と両手すり
その後 家族では起こすことが難しい 家庭内の介助範囲を超えた

一つの症状が突然出たというより、数日間で介助量が一段ずつ増えていました。

今回の判断材料は、左足が出ないことだけではありません。

もともと能力が低い人ではあるが、その人の中で、さらに一段ずつ動作能力が低下していることでした。

施術や運動で戻す段階ではないと考えた理由

訪問施術者は、動きにくい人を前にすると、施術や運動で少しでも戻せないかと考えます。

  • 筋緊張を落とす
  • 関節を動かす
  • 立ち上がりを繰り返す
  • 歩行方法を調整する
  • 手すりの使い方を変える

普段の機能低下であれば、こうした介入が役立つこともあります。

しかし今回は、数日単位で介助量が増えていました。

施術だけでは、次のような可能性を除外できません。

  • 脱水
  • 感染症
  • 栄養状態の低下
  • 電解質異常
  • 薬剤の影響
  • 便秘や排尿障害
  • 脳血管障害
  • 本人が十分に訴えられない疼痛や不顕性骨折
  • 廃用や全身的な体力低下

ここで重要なのは、どの病名が最も疑わしいかを決めることではありません。

施術者が挙げた可能性は、診断ではありません。

「この中のどれかだ」と伝えるためのものでもありません。

施術や運動を続けるだけでは、全身状態に関係する問題を除外できないと考えるための材料です。

この日は、歩行練習を増やして以前の状態へ戻そうとはしませんでした。

施術で変化を出せるか試すより、医療機関で一度全身状態を確認してもらうことを優先しました。

施術をしないことは、何もしないことではありません。

  • その日の施術を止める
  • 普段との差を記録する
  • 家族へ医療評価の必要性を伝える
  • 次に判断できる人へつなぐ

これも、訪問施術者の実務です。

訪問施術で起こりやすい「いつも通り」という思い込みや、施術してよい状態かを先に確認する考え方については、こちらの記事で整理しています。

訪問鍼灸のヒヤリハットまとめ|事故を防ぐために見ておきたい現場の判断ミス

「受診してください」だけでは受診できない

医療評価が必要だと考えた時、家族へは受診を提案しました。

しかし、夫からは次の事情が示されました。

  • 家族の力では本人を起こせない
  • 車がない
  • 車椅子で外出させるには暑さが厳しい
  • 救急車を呼ぶことには抵抗がある
  • 明確なかかりつけ医がいない

受診歴のある医療機関はいくつかありました。

過去に受診した整形外科と、同じ建物内にある内科。

近隣の内科。

半年に一度程度受診している内科。

ただし、日常的に全身状態を把握し、今回のような変化を相談できる明確なかかりつけ医はいませんでした。

在宅現場では、

「一度受診してください」

と伝えるだけでは、実際の受診につながらないことがあります。

施術者が伝えたこと 家族側に残っていた壁
医療機関で確認してほしい 本人を起こせない
できるだけ早く受診してほしい 移動手段がない
内科的な問題も除外できない どこへ相談すればよいか分からない
状態が悪ければ救急も検討する 救急車への心理的抵抗がある
家族だけで判断しないでほしい 誰へ判断を渡せばよいか分からない

本人を起こせない。

車がない。

介護タクシーをその場で手配できない。

本人や家族が救急車をためらう。

相談できる医師がはっきりしない。

これらは、医学的な問題とは別の、受診へたどり着くまでの壁です。

訪問施術者が送迎を引き受けたり、自分で搬送方法を決めたりする必要はありません。

ただし、「受診してください」とだけ伝えて帰れば、その壁は残ります。

この時は、

少なくとも、過去に受診した医療機関へ電話し、往診や訪問対応が可能か相談してみてください

と伝えました。

診断や搬送を自分で抱える必要はありません。

一方で、誰につなげば次の判断ができるのかまで考えなければ、受診の提案が現実の行動につながらないことがあります。

ケアマネジャーへ渡す情報は五つに分ける

担当ケアマネジャーとは、それまで直接連絡を取ったことがありませんでした。

まず事業所へ直接出向き、対応した職員へ状態を共有しました。

担当ケアマネジャーにも伝えてもらうことになりました。

その後、記録を残す意味も含めて、担当ケアマネジャーへSMSを送りました。

共有したのは、主に次の内容です。

  • 以前から左への傾きと左足の出にくさがあったこと
  • もともと立位・歩行の介助量が多かったこと
  • 数日間でさらに立位・歩行能力が低下したこと
  • 8月4日に確認した自動運動・疼痛・圧痛などの所見
  • 家族だけでは受診させられないこと
  • 家族に救急車への抵抗があること
  • 医療機関での評価が必要だと考えていること

夫からもケアマネジャーへ電話する予定だと聞いていたため、

可能であれば、ご家族への状況確認をお願いします

という範囲で依頼しました。

このような状態変化を伝える時は、情報を五つに分けると整理しやすくなります。

分ける情報 今回の例
自分が直接確認したこと 座位で下肢の自動運動が可能、明確な圧痛なし
家族から聞いたこと 家族の力では起こせなくなった
以前からあったこと 左偏倚、左足の出にくさ、強い介助が必要
新しく悪化したこと 数日間で必要な介助量が増えた
推測・除外できないこと 脱水、感染、脳血管障害などの可能性

この五つが混ざると、受け取る側が判断しにくくなります。

たとえば、

「左半身が動きません。脳梗塞だと思います」

と伝えると、直接確認したことと推測が一文の中で混ざります。

今回、救急隊へ伝える内容をケアマネジャーから聞かれた際、

左上肢・左下肢が動かない。脳の問題なのか、脱水など別の問題なのか確認してほしい

という趣旨で伝えました。

しかし、振り返ると「動かない」は事実より強い表現でした。

8月4日の時点では、

  • 左上肢は動かせていた
  • 座位で左下肢の自動運動もできた
  • 左脚が完全に動かないわけではなかった
  • 左へ崩れるため右側へ荷重できず、歩行時に左脚を出しにくかった

という状態でした。

より正確には、

以前から左への傾きと左足の出にくさはありました。ここ数日でそれが強くなり、立位・歩行に必要な介助量が段階的に増えています

と伝えるべきでした。

強すぎる伝え方 事実を分けた伝え方
左半身が動きません 座位では上下肢を動かせます
脳梗塞だと思います 原因は判断できません
急に歩けなくなりました 以前から介助歩行でしたが、数日で介助量が増えています
骨折ではありません 明確な圧痛や転倒情報は確認できませんでした
救急車が必要です 医療評価が必要ですが、家族だけでは受診が難しい状態です

情報を弱く伝えるという意味ではありません。

実際に確認した事実を正確に伝え、そのうえで緊急性や医療評価の判断を、判断できる人へ渡すという意味です。

ケアマネジャーさんへの報告を、施術内容ではなく生活上の変化として整理する方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。

訪問鍼灸の報告書は何を書けばいいのか|ケアマネが読みやすい報告・読みにくい報告

体調変化時の共有と、療養費制度上の施術報告書の違いについてはこちらです。

訪問鍼灸に報告義務はあるのか|医師への施術報告書と施設共有の違い

救急搬送は施術者一人で決めたものではない

連絡を受けたケアマネジャーが自宅を訪問し、本人と家族の状態を確認しました。

その結果、救急車を呼び、医療機関を受診することになりました。

これは、訪問施術者が独断で救急搬送を決定したものではありません。

経過は次の通りです。

  1. 訪問施術者が普段との差を確認した
  2. 家族へ医療評価の必要性を伝えた
  3. 家族から受診できない事情を聞いた
  4. ケアマネジャーへ事実と受診困難を共有した
  5. 家族からもケアマネジャーへ連絡した
  6. ケアマネジャーが自宅を訪問した
  7. 現場確認後に救急搬送が選択された

訪問施術者が行ったのは、救急搬送の最終決定ではありません。

普段との差を見つけ、施術範囲を超えている可能性を伝え、家族だけでは医療へつながれない状況をケアマネジャーへ渡したことです。

役割 今回担ったこと
訪問施術者 普段との差の確認、施術中止、所見と経過の共有
家族 家庭内での介助状況、受診できない事情の説明
ケアマネジャー 家族への確認、自宅訪問、介護全体からの調整
救急隊・医療機関 緊急性の評価、搬送、診察・検査
本人 可能な範囲で症状や意思を伝える

責任を分けることは、誰かへ押しつけることではありません。

それぞれが持っている情報と権限が違うため、役割をつなぐ必要があります。

訪問施術者が一人で診断、受診方法、救急搬送、入院の必要性まで背負うと、役割が広がりすぎます。

反対に、

「自分は診断できないので分かりません」

と何も共有せず帰れば、定期訪問で得た情報が次の判断に使われません。

診断はしない。

しかし、判断材料は渡す。

この間に、訪問施術者の役割があります。

訪問鍼灸・訪問マッサージが地域連携の中で、どのような情報を返す外部職になるかについてはこちらの記事で整理しています。

訪問鍼灸は地域連携に入れているのか|カンファに呼ばれない外部職から抜け出すには

搬送後の「大げさだったか」をどう整理する

救急搬送につながった後、施術者側には迷いが残りました。

  • 大げさにしてしまったのではないか
  • 救急車で行ったことで、そのまま自宅へ帰れなくなれば、家族に迷惑をかけたのではないか
  • 近所の目もあったのではないか
  • 最終的に救急車を呼ぶなら、自分が最初から手配するべきだったのではないか

ケアマネジャーから、

先生が救急車でとおっしゃっていたので

という趣旨の言葉があり、自分に責任が集まったようにも感じました。

連携した後に、このような感情が出ることはあります。

特に診断結果がまだ分からない段階では、

「もし何もなかったらどうしよう」

という迷いが残ります。

ただし、今回の経過を分けて見る必要があります。

まず、救急車を呼んだから動作能力が低下したわけではありません。

搬送前から、家族だけでは起こせない状態になっていました。

また、施術者が一人で救急搬送を決めたわけでもありません。

家族の状況を聞き、ケアマネジャーへ共有し、ケアマネジャーが現場を確認した後に搬送が選ばれています。

「自分が問題を大きくした」と考えるより、

元から存在していた問題を、医療が評価できる場所へ渡した

と整理する方が、実際の経過に近いと考えます。

搬送後に出やすい迷い 経過から整理できること
大げさだったのではないか 数日間で介助量が増えていた
家に帰れなくしたのではないか 搬送前から家族だけでは介助できなかった
自分が救急車を決めた 家族・ケアマネの確認を経て決まった
最初から自分が119番すべきだった 明らかな緊急性を即断できない状況だった
責任を他職種へ押しつけた 自分の所見を渡し、次の判断へつないだ

もちろん、連携の言葉は振り返る必要があります。

今回であれば、「左上下肢が動かない」という表現は修正した方がよい部分でした。

しかし、伝え方に修正点があったことと、医療へつないだこと自体が間違いだったことは同じではありません。

次回は、より正確に事実を分けて伝える。

一方で、医療評価が必要だと考えた判断まで否定しない。

この二つを分けて振り返る必要があります。

訪問施術者が状態変化を見つけた時の順番

今回の事例を、次回の現場で使える順番にすると、次のようになります。

1.普段との差を確認する

単に「歩けない」「傾いている」と記録するのではありません。

  • 前回はどこまでできたか
  • 以前はどの程度の介助だったか
  • いつから変化したか
  • 家族の介助で成立していたことが、今もできるか

を確認します。

2.自分が直接確認した所見を残す

  • 動かせたか
  • 痛みはあったか
  • 圧痛はあったか
  • 転倒や打撲の情報はあったか
  • どの動作で介助量が増えたか

その場で確認できたことだけを記録します。

3.施術で戻そうとしない

数日単位で機能が低下している時は、施術や運動による反応を見ることより、全身状態の評価を優先する場面があります。

無理に歩かせて変化を確かめる必要はありません。

4.受診できるかではなく、受診までの壁を確認する

  • 本人を起こせるか
  • 移動手段があるか
  • 相談できる医師がいるか
  • 家族が救急車をどう捉えているか
  • 家族だけで判断できる状態か

を聞きます。

5.情報を五つに分けて渡す

  • 自分が確認したこと
  • 家族から聞いたこと
  • 以前からあったこと
  • 新しく悪化したこと
  • 除外できず医療評価が必要だと考えたこと

を分けて伝えます。

6.次の判断ができる人へ渡す

家族だけで受診につながれない場合は、ケアマネジャー、訪問看護、かかりつけ医、医療機関など、次に現場を確認できる人へ渡します。

誰へつなぐかは、利用者さんのサービス利用状況や緊急性によって変わります。

7.連携した記録を残す

  • 誰へ伝えたか
  • いつ伝えたか
  • 何を伝えたか
  • 相手から何を言われたか
  • 次に誰が確認することになったか

短くても記録を残します。

訪問施術者の責任は、すべての結末を引き受けることではありません。

普段との差を見逃さず、自分の施術範囲を超えたと判断し、次の役割を持つ人へ情報を渡すところまでです。

まとめ

訪問施術では、もともとの身体能力が低く、急な機能低下なのか、廃用や体力低下なのかを分けにくい人に関わることがあります。

その時に必要なのは、病名を当てることではありません。

今回の事例で判断材料になったのは、次の点です。

  • 以前からあった症状と、今回悪化した部分を分けたこと
  • 数日間で必要な介助量が増えていたこと
  • 施術や運動で戻そうとしなかったこと
  • 家族だけでは受診できない事情を確認したこと
  • ケアマネジャーへ事実と受診困難を共有したこと
  • 現場確認後に救急搬送が選択されたこと

診断はできない。

しかし、普段との差は分かる。

救急搬送を決定する立場ではない。

しかし、家族だけでは医療につながれないことは分かる。

その時に必要なのは、診断できないことを理由に黙って帰ることではありません。

自分が確認した事実を整理し、次に判断できる人へ渡すことです。

責任の有限化とは、責任放棄ではありません。

自分の役割を果たしたうえで、自分には担えない判断を、その役割を持つ人へ渡すことです。

訪問施術者が問題を大きくしたのではありません。

元からあった問題を、医療へつないだ。

今回の連携は、そのように整理できる事例でした。

普段との違いを整理したい方へ

ケアマネ・介護職への共有を整理したい方へ

訪問施術者の役割と連携を考えたい方へ

急な状態変化を一人で抱えたくない方へ

訪問施術では、診断はできなくても、普段との違いに気づくことがあります。

施術を続けるのか。

家族へ何を伝えるのか。

ケアマネジャーや医療へ、どの時点で渡すのか。

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