訪問鍼灸師が施設に入る時の自己紹介|何を見る人か・何を勝手に決めないか
訪問鍼灸・訪問マッサージで初めて施設に入る時、職員さんへ自己紹介をする場面があります。
鍼灸師です。
訪問施術をしています。
痛みや関節の動きを見ています。
週に何回か伺います。
この程度の説明でも、名前と職種は伝わります。
ただ、施設側が知りたいのは、資格や施術内容だけではありません。
この人は何を見るのか。
施術後に何を教えてくれるのか。
家族さんとはどこまで話すのか。
職員へ指示を出す人なのか。
何かあった時は誰に相談すればよいのか。
施設側にとって、訪問施術者は生活の場に入ってくる外部職です。
そのため、自己紹介では「何ができます」と強く伝えるよりも、施設の中でどう関わる人なのかを短く伝えた方が安心されやすくなります。
この記事では、訪問鍼灸師・訪問マッサージ師が施設に入る時の自己紹介を整理します。
営業トークではなく、施設との連携を始めるための短い伝え方の記事です。
施設が自己紹介で知りたいこと
訪問施術者は、自己紹介で資格や経歴を伝えたくなることがあります。
鍼灸師として何年経験があるか。
どのような症状を見てきたか。
どのような施術ができるか。
訪問施術にどれだけ詳しいか。
もちろん、必要に応じて伝える意味はあります。
ただ、施設職員さんが最初に知りたいのは、もっと実務に近いことです。
| 施術者が伝えたくなること | 施設側が先に知りたいこと |
|---|---|
| 資格や経験年数 | 利用者さんへどう関わる人なのか |
| 施術の効果 | 施術後に何を共有してくれるのか |
| 専門的な施術内容 | 職員さんの仕事が増えないか |
| 対応できる症状 | 家族さんや他職種と勝手に話を進めないか |
施設側は、施術者の技術をその場ですべて判断できません。
その代わりに、報告する人なのか、現場を乱さない人なのか、役割を越えすぎない人なのかを見ています。
施設側が訪問鍼灸を勧めにくい理由については、こちらの記事で整理しています。
▶ 施設側から見た訪問鍼灸|「何をしているか分からないもの」は勧めにくい
伝えたいのは三つだけ
施設での自己紹介は、長くする必要はありません。
最低限、次の三つが伝われば、施設側は施術者の立ち位置を理解しやすくなります。
| 伝えること | 内容 |
|---|---|
| 何を見る人か | 痛み、動作、施術中の反応、本人さんの負担など |
| 何を共有するか | 施術後の状態や、その日の介助・見守りに関わること |
| 何を勝手に決めないか | 介助方法、福祉用具、施術回数、家族対応など |
たとえば、次のような内容です。
「施術だけでなく、痛みが出る動作や施術中の反応も見ています」
「施術後に気になることがあれば、担当の職員さんへ短く共有します」
「介助方法や福祉用具について気づいたことがあっても、こちらで決めずに施設の方へ相談します」
これだけでも、施術者の立ち位置が見えやすくなります。
自分ができることだけでなく、勝手に進めないことを伝えるのがポイントです。
施設での報告先や共有方法については、こちらの記事で詳しく整理しています。
▶ 施設に入る訪問施術者に必要な報告ルール|施設側が目安を作る意味
施設で使える自己紹介の文例
自己紹介は、施設の管理者さんへ伝える場合と、現場の職員さんへ伝える場合で少し変えられます。
管理者・責任者への自己紹介
本日から訪問施術で伺います、鍼灸師の〇〇です。
施術では痛みや身体の動きだけでなく、ご本人の反応や負担も確認します。
施術後に生活や介助に関わる変化があれば、決めていただいた担当者の方へ共有します。
介助方法や福祉用具、家族対応については、こちらだけで決めずに施設の方へ相談します。よろしくお願いいたします。
現場の職員さんへの短い自己紹介
今日から〇〇さんの訪問施術で伺う鍼灸師の〇〇です。
施術後に、疲れや痛みなど気になることがあれば短くお伝えします。
普段と違う様子があれば、施術前に教えていただけると助かります。よろしくお願いします。
営業担当者と施術者が違う場合
担当者から、訪問時間と施術場所、施術後の共有方法について引き継いでいます。
ご本人への声かけや、避けた方がよい関わりについても聞いていますが、今日の状態で気になることがあれば教えてください。
営業に来た人と実際の施術者が違う場合は、引き継いでいる内容を言葉にすることが大切です。
担当者が違う時に施設側が感じる不安については、こちらの記事で整理しています。
▶ 営業に来た人と施術に来る人が違う不安|施設が安心しにくい訪問施術の入口
初回から施術効果を長く説明しない
施設へ初めて入る時は、自分の仕事を理解してもらいたい気持ちが強くなります。
そのため、鍼灸の効果、適応症状、施術方針などを詳しく説明したくなることがあります。
ただ、現場の職員さんは忙しい中で対応しています。
初回から長い説明をすると、内容が伝わる前に負担として受け取られることがあります。
| 初回に伝えすぎやすいこと | まず伝えたいこと |
|---|---|
| 鍼灸の詳しい仕組み | 誰の施術で、何時頃に訪問するか |
| 対応できる症状の一覧 | 本人さんの何を見ているか |
| 施術効果の説明 | 施術後に何を共有するか |
| 事業所の強み | 何を勝手に進めないか |
施術の詳しい説明が必要になれば、管理者さんや家族さんと時間を取って話せます。
現場の職員さんへの最初の自己紹介では、実務に必要な内容を短く伝える方が機能します。
管理者へ訪問施術を伝える時の考え方については、こちらの記事も参考になります。
▶ 訪問鍼灸の営業はケアマネだけでいいのか|管理者クラスに伝わる提案を考える
関わる職員が変わる前提で短く伝え直す
施設では、多くの職員さんが交代で勤務しています。
初日に管理者さんへ自己紹介をしても、すべての職員さんへ情報が届くとは限りません。
毎週訪問する曜日や時間帯によって、顔を合わせる職員さんも変わります。
そのため、初回に一度説明して終わりではなく、必要に応じて短く伝え直すことが大切です。
ただし、会うたびに長い自己紹介をする必要はありません。
「〇〇さんの訪問施術で来ています」
「施術後に気になることがあれば、一言お伝えします」
「今日は担当の方へどのように共有すればよいですか」
この程度で十分です。
| 場面 | 短く伝える内容 |
|---|---|
| 初めて会う職員さん | 誰の施術で来ているか |
| 共有先が分からない時 | 施術後は誰へ伝えればよいか |
| 本人さんの状態が普段と違う時 | 施術前の状態を職員さんへ確認する |
| 担当施術者が変わった時 | 引き継ぎ内容と新しい連絡先を伝える |
施設内では、全員が訪問施術者のことを知っているとは限りません。
「前にも説明したから分かっているはず」と考えず、相手が初めて会う人なら、必要な分だけ伝え直します。
施術後の短いフィードバックについては、こちらの記事で整理しています。
▶ 訪問施術者は無口で帰っていいのか|高齢者施設でフィードバックが必要な理由
まとめ
施設に入る訪問鍼灸師・訪問マッサージ師の自己紹介は、資格や施術効果を長く説明する場ではありません。
施設側が知りたいのは、外部職としてどのように関わる人なのかです。
自己紹介で伝えたいのは、主に三つです。
何を見る人なのか。
施術後に何を共有するのか。
何を勝手に決めないのか。
痛みや動作、本人さんの反応を見る。
生活や介助に関わる変化は、決められた相手へ短く共有する。
介助方法、福祉用具、家族対応、施術回数などは、施術者だけで決めずに相談する。
これが伝わると、施設側は訪問施術者の立ち位置を理解しやすくなります。
自己紹介の目的は、自分を大きく見せることではありません。
施設側が「この人なら、話をつなぎながら関われそう」と判断できる材料を渡すことです。
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