障害者支援施設のヒヤリハット|違和感を情報にしなかった日
この記事は、
障害者支援施設で夜勤をしていた時、
“うまくいっている関係”を安定と扱いかけた日の話です。
避けられるのは、
・表面の適応を安定と誤認すること
・違和感を「性格」や「特性」で処理すること
・距離のズレを情報にしないこと
です。
現場の前提
知的・精神が混在するグループホーム。
最終目標は、
一人暮らしができる状態まで支援すること。
30代中頃の男性。
統合失調症。
他府県や複数の施設を転々とし、
一人暮らしを試みたこともある。
その時は、
施設が持つマンションでの
“プレ一人暮らし”段階だった。
関係は悪くなかった
会話は成立する。
スタッフとも大きな衝突はない。
将棋はアマチュア二段。
とても強い。
自分も少し将棋ができたので、
よく相手をしていた。
就労支援の話もする。
給料が安いことへの不満も話す。
一見、順調。
でも、あった違和感
関係は悪くない。
でも、
最後の距離が縮まらない。
うまく言語化できないが、
・どこか壁がある
・完全には預けていない
・軽い不審感のようなものが残る
当時は、
「統合失調症だから多少はあるよな」
と処理していた。
ある夜
夜中にいなくなった。
施設内、周辺を探す。
見つからない。
部屋を確認すると、
携帯も荷物も置いたまま。
小さな段ボールの中に手帳。
そこには、
・陰謀
・監視
・陥れられている
・過去施設でも同様の記述
が書かれていた。
その瞬間、
「ああ、全然おさまっていなかったんだ」
と思った。
ヒヤッとした本当の理由
消えたことではない。
手帳の内容でもない。
ヒヤッとしたのは、
あの違和感を、情報として扱わなかったこと。
関係が成立している
衝突がない
将棋もできる
それを、
安定に近いものとして扱いかけていた。
何が起きていたか
違和感
↓
「特性だから」と処理
↓
経過観察
↓
症状の水面下進行を見落とす
違和感は、
感情ではなく、データだった。
今なら置く判断
今ならこう置く。
・関係が良好=安定ではない
・距離が縮まらない違和感は記録する
・主観的な“不審感”を曖昧にしない
違和感は、
批判ではない。
安全確認の入口。
まとめ
この話で減らすべき判断は、
違和感を、
性格や特性で処理すること。
支援現場では、
「問題を起こしていない」
=「安定している」
と誤認しやすい。
でも、
関係の温度は、
症状のヒントになることがある。
うまくいっているように見える時ほど、
違和感を捨てない。
関連記事
・技術じゃない理由で、ヒヤッとした瞬間──助けたくなる構造
・技術じゃない理由で、ヒヤッとした瞬間──「なんもない」を通しかけた日
・技術じゃない理由で、ヒヤッとした瞬間──線を引かなかった指導
