訪問鍼灸のヒヤリハット|「来てほしい」と「不安がない」は別だった話
①この記事で避けられること(読む理由)
この記事では、
・紹介があることで安心してしまうこと
・施術の必要性だけで訪問が成立すると考えてしまうこと
・患者さんの生活圏の不安を読み落とすこと
を避けるための判断を置いています。
②誰向けか
・訪問鍼灸をしている人
・訪問看護、介護職で個人宅に入る人
・紹介経由の初回訪問が多い人
③現場の前提
訪問鍼灸で開業したての頃の話です。
当時はまだ30歳になる前で、
紹介で新規の患者さんのところへ行く機会が増えていました。
今回の患者さんは80代半ばの女性でした。
紹介してくださった患者さんが、
かなり強く私のことを勧めてくださっていたようで、
紹介先の方も、以前から訪問で施術してくれる人を探していたとのことでした。
お互いの条件としては合っており、
ちょうどよい形で訪問が始まりそうな流れでした。
④起きたこと
実際に話をすると、
患者さんは「来てほしい」と言ってくださいました。
ただ同時に、
「男の人が家に来るのは怖い」
とも言われました。
私はその時、
そういう拒否感もあるだろう、
新しい人が家に入ることへの不安だろう、
という程度に受け取っていました。
その後、話をして、
最終的には来てもらうという流れになりました。
ただ、後から患者さんが話してくれたのは、
少し別の理由でした。
昔ながらの下町の長屋のような環境で、
夫が亡くなった後に新しい男の人が家に出入りすると、
近所から変に思われるのではないか、
という不安があったということでした。
その時、私は一瞬、
何を言われているのかすぐには分かりませんでした。
年齢差も大きく、
自分のことをそういう意味で言われているとは
まったく思っていなかったからです。
⑤違和感(ヒヤリ)
この時のヒヤリは、
患者さんの言葉の意味をすぐに理解できなかったことです。
こちらは
「施術が必要かどうか」
「来てほしいと思っているか」
を中心に考えていました。
しかし患者さんの側では、
それとは別に
・家に男性が入ること
・近所の目
・亡くなった夫の後の生活
・新しいことを始める不安
といった、
生活の側の抵抗感が動いていました。
訪問では、
身体の困りごとがあることと、
家に人を入れる不安がないことは、
同じではありません。
⑥減らせる判断
「来てほしい」と言われても、不安が解消しているとは限らない
特に訪問では、
施術内容や相性だけでなく、
生活圏に他人を入れること自体への抵抗があります。
しかもその不安は、
身体のこととしては表現されず、
言葉にしにくい形で出ることがあります。
初回訪問や導入の場面では、
依頼があることや紹介があることだけで安心せず、
・何が不安なのか
・何が引っかかっているのか
・本人は何を気にしているのか
をもう一段確認する必要があります。
⑦今ならどうするか
今なら、
「来てほしいけれど不安もある」と言われた時点で、
その不安の中身をもう少し丁寧に確認します。
・男性が家に入ること自体への抵抗なのか
・近所の目が気になるのか
・新しいことを始める不安なのか
・家族がいない時間帯が不安なのか
こうしたことを確認したうえで、
訪問日時や入り方、声かけの仕方も含めて調整します。
施術を始める前に、
まず生活の不安を小さくする。
その視点が必要だったと思います。
まとめ
このケースで残す判断は1つです。
訪問では、施術の必要性だけでは足りない
来てほしいという気持ちがあっても、
生活の側には別の不安が残っていることがあります。
訪問の導入では、
身体の話だけでなく、
その人の生活圏で何が引っかかっているのかを見る必要があります。
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