訪問鍼灸の料金|1回いくら?交通費はかかる?

訪問鍼灸の料金は、1回いくらかかるのでしょうか。

健康保険を利用する場合と自費で受ける場合では料金の考え方が違います。また、同じ保険施術でも、訪問する場所や同じ建物で施術を受ける人数によって金額が変わります。

さらに、施術料金とは別に交通費が発生する場合もあります。

訪問鍼灸の料金について大切なのは、単純に金額だけを見るのではなく、何が料金に含まれているかを確認することです。

この記事では、2026年7月の療養費改定を踏まえ、訪問鍼灸の料金、自己負担額、交通費、初回に確認しておきたいことを整理します。

① 結論|訪問鍼灸の料金は1回いくら?

健康保険を利用した訪問鍼灸では、2026年7月1日以降、同じ日・同じ建物で1人に定期的な訪問施術を行う場合の基本料金は次のとおりです。

施術内容1回の料金
はり、またはきゅう(1術)3,950円
はり・きゅう併用(2術)4,120円

この金額は制度上の療養費であり、患者さんが全額を負担するという意味ではありません。

例えば、はり・きゅう併用で4,120円の場合、保険の自己負担割合に応じた金額は次のようになります。

自己負担割合1回の自己負担額
1割負担412円
2割負担824円
3割負担1,236円

※訪問施術料1・2術の基本料金のみを使った計算例です。初検料、各種加算、交通費などは含んでいません。

実際の窓口負担は、公費負担医療の適用などによっても変わる場合があります。

また、この料金が適用されるのは、健康保険による療養費の支給要件を満たしている場合です。

訪問を希望すれば、誰でもこの金額で施術を受けられるわけではありません。

② 訪問鍼灸で健康保険を使うための条件

訪問鍼灸で健康保険を利用するには、所定の要件を満たす必要があります。

まず、はり・きゅうの療養費には、対象となる傷病や医師の同意に関する条件があります。

加えて、訪問施術料を算定するには、歩行困難など、やむを得ない理由によって通所して施術を受けることが困難であり、訪問施術が治療上必要と認められることが前提です。

単に「家で受けたい」「通院するのが面倒」という理由だけでは、訪問施術料の支給対象にはなりません。

また、制度上は訪問の仕方によって、次の2つを区別します。

  • 訪問施術料:必要性が認められ、定期的・計画的に訪問して施術する場合
  • 施術料+往療料:突発的に通所が困難となるなど、所定の理由によって往療する場合

どちらも、自宅や施設に出向いて施術を行うことはあります。

しかし、訪問したという事実だけで同じ料金になるわけではありません。

施術者側は、料金を説明する前に、どの算定区分に該当するかを確認する必要があります。

③ 訪問鍼灸の保険料金一覧【2026年7月改定】

2026年7月1日から、はり・きゅう療養費の料金が改定されました。

ここでは、訪問施術料の基本料金を整理します。

同じ建物で1人に施術する場合

訪問施術料1の料金です。

施術内容料金
1術3,950円
2術4,120円

「1術」は、はりまたはきゅうのいずれか一方、「2術」は、はりときゅうを併用する場合です。

同じ建物で複数人に施術する場合

同じ日・同じ建物で施術を受ける人数によって、訪問施術料の区分が変わります。

同一日・同一建物の患者数1術2術
1人3,950円4,120円
2人2,800円2,970円
3〜9人2,110円2,280円
10〜19人1,800円1,970円
20人以上1,720円1,890円

※いずれも患者1人・1回あたりの基本料金です。

例えば、同じ日に同じ施設で2人に訪問施術を行った場合、所定の算定要件のもとでは、2人それぞれについて訪問施術料2の料金を算定します。

施設での訪問施術では、この人数区分が料金に直接関わります。

なお、人数の判定には制度上の取扱いがあるため、単純に「同じ時間帯に何人施術したか」だけで判断するものではありません。

急な往療の場合

突発的な理由で往療する場合には、所定の条件を満たすことで、施術料と往療料を算定します。

2026年7月以降の基本料金は次のとおりです。

項目料金
施術料・1術1,650円
施術料・2術1,820円
往療料2,300円

例えば、2術の施術料と往療料を算定できる場合は、

1,820円+2,300円=4,120円

となります。

ただし、急な依頼があれば必ず往療料を算定できるわけではありません。

歩行困難などの理由が突発的に発生したことや、治療上の必要性など、制度上の条件を満たしている必要があります。

④ 初回の料金や追加費用にも注意する

ここまでの料金表は、基本的な金額です。

実際には、初検料や各種加算によって金額が変わる場合があります。

初検料

2026年7月以降の初検料は次のとおりです。

施術内容初検料
1術2,000円
2術2,320円

初検料は、初回など所定の算定条件を満たす場合に算定される料金です。

その他の加算など

制度上、条件に応じて次の料金が設けられています。

  • 電療料:100円
  • 特別地域加算:250円
  • 施術報告書交付料:480円
  • 明細書発行加算:10円

これらはすべての施術に自動的に加わるものではありません。

それぞれ算定条件が決められています。

また、2026年7月からは、同じ患者さんへの月16回以降の施術について、施術料・訪問施術料・電療料を所定料金の50%で算定する取扱いが設けられています。

訪問施術料4・5についても、施設への施術集中率などによって料金が調整される場合があります。

そのため、実際の請求金額は、施術内容や算定条件に基づいて確認する必要があります。

⑤ 訪問鍼灸の交通費は別にかかる?

訪問鍼灸の料金で、特に確認しておきたいのが交通費です。

保険による訪問施術であっても、訪問に要する交通費については患者さんの負担とされています。

一方、実際に交通費をどのように案内し、いくら請求するかは、施術所ごとの取扱いを確認する必要があります。

例えば、施術を受ける側は次のように考えていることがあります。

「健康保険を使えるなら、支払いは1割だけ」

しかし、制度上の療養費に対する自己負担と、別途発生する交通費は同じものではありません。

この認識がずれたまま施術を始めると、後から料金について不満や誤解が生まれます。

施術を始める前に、少なくとも次の点は確認しておきたいところです。

  • 1回あたりの保険自己負担額はいくらか
  • 交通費は別途必要か
  • 必要な場合はいくらか
  • 初回と2回目以降で支払額が変わるか

料金説明では、「1割負担だから安い」という説明だけで終わらせず、実際に患者さんが支払う金額を伝えることが大切です。

⑥ 自費の訪問鍼灸はいくらかかる?

健康保険を利用しない自費の訪問鍼灸には、保険の療養費のような全国一律の料金設定はありません。

料金は施術所ごとに異なります。

そのため、自費施術を検討する場合は、施術料だけでなく、次の内容を確認する必要があります。

  • 施術時間は何分か
  • 訪問料が別途発生するか
  • 交通費が必要か
  • 延長料金があるか
  • キャンセル時の料金はどうなるか

同じ「1回の訪問鍼灸」でも、料金に含まれる内容が違えば、単純に金額だけを比較することはできません。

また、保険施術と自費施術では、適用条件や費用の扱いが異なります。

初回の問い合わせ時点で、どちらの施術を希望しているのかを整理しておくと、話が進めやすくなります。

⑦ 料金トラブルを防ぐために初回に決めておくこと

訪問鍼灸では、料金そのものよりも、支払い方法が曖昧なことで困る場合があります。

例えば、施術を続けているうちに、こんなことが起きます。

「今日は現金を用意していない」

「家族がまとめて払うと思っていた」

「月末にまとめて支払いたい」

「キャンセル料がかかるとは聞いていない」

一つひとつは小さな行き違いでも、積み重なると患者さんや家族との関係に影響します。

そのため、初回の説明では次の項目を確認しておくことを勧めます。

  1. 保険施術か自費施術か
  2. 1回あたりの料金と交通費
  3. 支払う人は本人か家族か
  4. 支払いは都度払いか、月ごとの精算か
  5. 領収書・明細書の受け渡し方法
  6. 予定変更やキャンセル時の連絡方法

施術者としては、料金の説明を細かくすることに抵抗があるかもしれません。

しかし、最初に条件を明確にしておくことは、相手を疑うことではありません。

むしろ、患者さんや家族が安心して施術を続けるために必要な説明です。

料金と支払い方法の決め方については、別の記事でも整理しています。

▶ 訪問鍼灸の料金と支払いルール|トラブルを防ぐ「最初の設計」

⑧ 訪問鍼灸の料金についてよくある質問

Q. 健康保険を使えば必ず1回412円で受けられますか?

いいえ。

412円は、訪問施術料1・2術の4,120円に対して、1割負担で計算した基本的な金額です。

実際には、保険適用の条件、施術内容、同一建物で施術する人数、初検料、各種加算、交通費などによって支払額が変わります。

また、公費負担医療などが適用される場合には、窓口負担額が異なることもあります。

Q. 施設に入居している場合も訪問鍼灸を受けられますか?

施設に入居していることだけで、訪問鍼灸が一律に利用できなくなるわけではありません。

ただし、施設の種類や患者さんの状態、保険適用の条件などを確認する必要があります。

また、同じ日・同じ建物で複数人に施術する場合は、人数に応じた訪問施術料の区分が関わります。

施設の種類によっても保険施術の取扱いが異なります。

特養・老健・有料老人ホームなど、それぞれの違いについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

▶ 訪問鍼灸は施設でも受けられる?|特養・老健・有料老人ホームの違い

Q. 毎週決まった曜日に訪問してもらう場合、往療料はかかりますか?

定期的・計画的な訪問施術で所定の条件を満たす場合は、原則として訪問施術料による算定を考えます。

訪問施術料には訪問に関する料金が包括されているため、通常の往療料を別に加えるという扱いではありません。

一方、突発的な理由による往療では、施術料と往療料の算定を検討します。

Q. 保険施術でも交通費は必要ですか?

交通費は療養費とは別の費用として、患者負担とされています。

実際の請求の有無や金額については、利用する施術所に確認してください。

まとめ|訪問鍼灸の料金は「総額」で確認する

2026年7月以降、健康保険を利用した訪問鍼灸では、訪問施術料1の基本料金は1術3,950円、2術4,120円です。

例えば、2術で1割負担の場合、基本料金に対する自己負担額は412円になります。

ただし、これはあくまで条件を限定した計算例です。

実際には、訪問施術料の区分、初検料、各種加算、交通費、公費負担医療などによって支払額が変わる場合があります。

訪問鍼灸の料金で大切なのは、安く見える金額だけを案内することではありません。

何にいくらかかり、実際に患者さんがいくら支払うのかを、施術開始前に共有すること。

この整理ができていれば、患者さんや家族は安心して利用しやすくなり、施術者側も料金トラブルを防ぎやすくなります。


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参考資料

※本記事の保険料金は、2026年7月1日以降の施術分に適用される料金を基にしています。実際の算定・請求にあたっては最新の通知および留意事項等を確認してください。