整形外科勤務のヒヤリハット|患者さんは「自分の施術時間」と「隣の施術」を見ている

①この記事で避けられること(読む理由)

この記事では、
・患者さんが待ち時間や施術時間を見ていないと思うこと
・「院のルールだから仕方ない」で説明を省いてしまうこと
・他の患者さんとの違いが、不信感につながることを見落とすこと

を避けるための判断を置いています。

②誰向けか

・整形外科、整骨院、訪問鍼灸などで患者対応をしている人
・限られた時間の中で施術やリハビリをしている人
・患者さんから「他の人との違い」を指摘されたことがある人

③現場の前提

整形外科で勤務していた頃の話です。

当時の現場は、
1人が担当する患者さんの数がかなり多い環境でした。

制度上の細かい話はここでは触れませんが、
現場感としては、かなり余裕のない人数でした。

患者さんの待ち時間も長く、
朝一番に来ても、日によっては2〜3時間待つこともありました。

それだけ待っても、
施術やリハビリの時間は10分と決められていました。

さらに整形外科なので、
院長の指示が出ている部位以外を、
こちらの判断だけで触ることはできません。

腰の指示なら腰。
膝の指示なら膝。

患者さんが
「肩も痛い」
「反対側も気になる」
と言っても、
その場で自由に全部を見るわけにはいかない。

そういう現場でした。

④起きたこと

その整形外科では、
施術ベッドの前に、順番待ちの椅子がありました。

電気、牽引、ホットパックなどをする椅子も近くにあり、
待っている患者さんから、施術風景が見える配置でした。

つまり、患者さんは見ています。

誰が何分くらい施術を受けているか。
誰がどこの部位を触ってもらっているか。
自分はあと何番目なのか。
1人終わるごとに、あとどれくらい待つのか。

慣れてくると、
患者さん自身が
「1人10分なら、自分はあと何分くらい」
と計算するようになります。

実際、椅子に座りながら、
1人終わるたびに時計を見ている姿もありました。

そして、自分の施術に入った時に、
こう言われることがありました。

「今日は〇人施術で10分やったら、先生遅かったね」

「〇〇さん、施術長かったね」

「〇〇さん、肩も腰も触ってなかった?」

患者さんは、こちらが思っている以上に見ています。

⑤違和感(ヒヤリとしたところ)

施術者側には、施術者側の事情があります。

院の方針がある。
時間の制限がある。
指示部位がある。
順番もある。
他の患者さんも待っている。

こちらとしては、
その中でできることをやっているつもりです。

でも、患者さんから見えているのは、
そういう裏側の事情ではありません。

見えているのは、

・自分は長く待っている
・自分の施術時間は短い
・他の人は長く触ってもらっているように見える
・他の人は複数の部位を見てもらっているように見える

という景色です。

ここに説明がないと、
患者さんの中では不信感に変わりやすくなります。

「あの人は長いのに、自分は短い」
「あの人はいろいろ触ってもらっている」
「自分はちゃんと見てもらえていない」

そう感じても不思議ではありません。

施術の内容が悪かったわけではなくても、
待ち時間と他の患者さんとの違いで、
信頼が削られることがあります。

⑥減らせる判断

患者さんは、施術だけではなく、待っている間の景色も含めて評価している。

ここは大事だと思っています。

施術者側は、
自分がベッドの前に立っている10分だけを
「対応している時間」と考えがちです。

でも患者さんにとっては、
待っている2時間も、すでにその院での体験です。

その間に、
順番を見ている。
時計を見ている。
他の患者さんとの違いを見ている。
スタッフの動きも見ている。

そして、自分の番になった時には、
すでにいろいろな感情が積もっていることがあります。

その状態で、
何の説明もなく10分だけ施術して終わると、
不満が残りやすくなります。

⑦「ルールだから仕方ない」だけでは足りない

もちろん、
現場には現場のルールがあります。

指示部位以外を触れない。
時間が決まっている。
順番を大きく変えられない。

これは施術者個人ではどうにもできないこともあります。

ただ、
患者さんからすると、
その事情は見えません。

だから、
ただルールを説明するだけでは、
冷たく聞こえることがあります。

「今日は腰の指示なので腰だけです」
「肩は指示が出ていないので触れません」

これだけだと、
言っていることは正しくても、
患者さんのしんどさは置いていかれます。

まず必要なのは、
その人が訴えている辛さを受け取ることです。

「肩もつらいんですね」
「そこもしんどいんですね」
「待っている間も気になっていましたよね」

その上で、
今できることと、できないことを伝える。

たとえば、

「すみません。今日は院長の指示が出ている場所しか触れないので、まず腰を中心に見ます」

「肩もつらいと思うので、次の診察の時に院長へ『肩もつらい』と伝えてください」

「指示が出れば、こちらでもその部位を見られる形になります」

こう伝える方が、
ただ断るよりも受け取られ方は変わります。

大事なのは、
患者さんの訴えを切らずに、
でも現場の制限も曖昧にしないことです。

感情を拾う。
今のルールを伝える。
次にどうすればいいかを置く。

この順番がないと、
説明は正しくても、
患者さんにはただ冷たく感じられることがあります。

⑧今ならこう見る

今なら、
この場面で見るべきなのは、
施術時間の中身だけではないと思います。

患者さんが何を見ているか。
どこで不満をためているか。
何を不公平だと感じているか。

そこまで含めて見ます。

限られた時間の中で、
できることには限界があります。

でも、
その制限を患者さんがどう受け取るかは、
関わり方で変わることがあります。

特に、
待ち時間が長い現場では、
施術に入る前から患者さんの感情は動いています。

そこを見ずに、
「10分しっかりやったから大丈夫」
とは言えません。

ルールを説明するだけではなく、
まず辛さを拾う。

その上で、
今できること、できないこと、次にどうすればいいかを伝える。

そこまで含めて、
限られた時間の中での患者対応だと思います。

まとめ

この記事で残す判断は1つです。

施術者が見られているのは、手技だけではない。待ち時間、順番、他の患者さんとの違いまで含めて見られている。

患者さんは、
自分の施術だけを見ているわけではありません。

待っている間に、
他の人の施術時間を見ている。
時計を見ている。
順番を見ている。
自分との違いを見ている。

その中で説明がなければ、
不信感が積もることがあります。

ただし、
ルールを説明するだけでも足りません。

患者さんには、
患者さんなりの辛さがあります。

そこを受け取った上で、
現場の制限を伝え、
次にどうすればいいかを置く。

施術内容だけでなく、
患者さんから見えている景色と、
そこにある感情まで含めて考える必要があります。


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現場では、
施術そのものよりも、
待ち時間、説明不足、他の患者さんとの違いで、
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