雪山救護のヒヤリハット|整復できることと、整復しにいくことは違う
①この記事で避けられること(読む理由)
この記事では、
・外傷対応で「戻せるかどうか」だけを見てしまうこと
・整復操作そのものに意識が寄りすぎること
・固定、再転位、搬送まで含めた判断を軽く見てしまうこと
を避けるための判断を置いています。
これは整復のやり方を説明する記事ではありません。
雪山救護の現場で感じた、できる処置と、今やるべき処置は違うという話です。
②誰向けか
・外傷対応に関わる施術者
・スポーツ現場や救護現場に関わる人
・「できること」と「やるべきこと」の線引きで迷う人
・訪問や現場対応で、介入しすぎる怖さを感じたことがある人
③雪山救護では、いろいろな外傷が来る
雪山救護をしていた時、
いろいろな外傷を見ました。
肩関節脱臼。
肘関節脱臼。
コーレス骨折。
腓骨骨折。
雪山なので、
転倒の勢いもありますし、
現場の環境も整っているわけではありません。
その場で応急処置をして、
必要な固定をして、
麓の病院へつなぐ。
救護の現場で大事なのは、
そこで完結させることではありません。
あくまで、
悪化させずに次の医療機関へつなぐこと
です。
④起きたこと
外傷の中には、
応急処置として整復や固定が必要になる場面もありました。
ただ、そこで難しかったのは、
整復操作そのものだけではありません。
もちろん整復には注意が必要です。
ただ、現場で特に気を使ったのは、
整復したあとに、再転位させずに固定して搬送につなぐこと
でした。
一見、戻す操作だけに意識が向きやすい。
でも実際には、
戻したと思っても、固定が甘ければ崩れる。
少しの位置変化で再転位する。
搬送の途中で動いてしまう。
そうなると、
その場で戻したこと自体の意味が薄くなります。
むしろ、
無理に整復操作を続けるより、
安定した位置で固定して、
病院へつなぐ方がいい場面もあります。
⑤ヒヤリとしたところ
施術者側には、
「できるなら戻したい」
という気持ちが出ることがあります。
整復できるかもしれない。
動かせば戻るかもしれない。
自分が対応できるかもしれない。
そう考えやすい場面です。
でも、現場で大事なのは、
戻せるかどうかだけではありません。
今、この環境でやるべきか。
このあと固定できるか。
搬送まで安定を保てるか。
無理に触ることで悪化させないか。
そこまで含めて判断しないといけません。
ここを見ずに、
「戻せるかもしれない」だけで動くと危ない。
整復操作自体が複雑かどうかより、
再転位しやすい状態で、どこまで触るかを決めること
にかなり気を使いました。
⑥減らせる判断
できる処置を全部やることが、良い対応とは限らない。
これは外傷対応でかなり大事だと思っています。
現場では、
「何ができるか」より先に、
「今やるべきか」を見ないといけません。
自分の技術で戻せるか。
それも大事です。
でも同時に、
・その場の環境
・固定の安定性
・搬送までの距離
・再転位のしやすさ
・本人の痛みや不安
・病院につなぐまでの安全性
ここまで見る必要があります。
処置ができることと、
その処置を今やるべきことは、
同じではありません。
⑦「動かさない判断」も処置の一部
外傷対応では、
何かをした方が仕事をしたように見えることがあります。
戻した。
動かした。
整復した。
処置した。
そういう分かりやすい結果は、
見た目にも強いです。
でも、現場では、
動かさない判断
の方が大事な場面もあります。
無理に整復操作をしない。
安定した位置で固定する。
それ以上崩さない。
病院につなぐことを最優先にする。
これは、何もしていないわけではありません。
むしろ、
その場で悪化させないための判断です。
派手ではありません。
でも、現場ではかなり重要です。
⑧訪問鍼灸にもつながる話
これは雪山救護の話ですが、
訪問鍼灸にもつながる感覚があります。
訪問でも、
「できそうだからやる」
「触れそうだから触る」
「動かせそうだから動かす」
「良くなりそうだから回数を増やす」
こういう判断は起きます。
でも本当に見るべきなのは、
自分ができるかどうかだけではありません。
今その人に必要か。
その場でやるべきか。
生活の中で崩れないか。
家族や他職種との関係を壊さないか。
次につなぐ方がいい場面ではないか。
ここを見ないと、
技術があることが、
かえって危ない方向に働くことがあります。
現場で怖いのは、
技術がないことだけではありません。
技術があるからこそ、やりすぎることもある。
ここは忘れない方がいいと思っています。
⑨今ならこう見る
今なら、
外傷でも訪問でも、
まず見るのは
「自分が何をできるか」
だけではありません。
それより先に、
・今ここでやるべきか
・やらない方が安全なことはないか
・次につなぐ方がいい場面ではないか
・処置後に安定を保てるか
・本人にとって一番リスクが少ない選択は何か
を考えます。
もちろん、
必要な処置はします。
でも、
できるから全部やる、
という判断にはしません。
現場では、
戻すことより、
触ることより、
施術することより、
悪化させずに次へつなぐこと
が優先になる場面があります。
まとめ
この記事で残す判断は1つです。
整復できることと、整復しにいくことは違う。
雪山救護では、
いろいろな外傷を見ました。
その中で難しかったのは、
単に整復操作をすることではなく、
再転位させずに固定し、
病院へつなぐまで安定させることでした。
できる処置があると、
つい「やる」方向に意識が向きます。
でも現場では、
あえて無理に動かさない。
安定した位置で固定する。
次の医療機関につなぐ。
その判断が必要な場面もあります。
技術より前に、
どこまで触るかを決める判断がある。
これは外傷対応でも、
訪問鍼灸でも、
同じように大事だと思っています。
判断が揺れた時に、先に見る1枚
現場では、
「できること」と「今やるべきこと」がずれる場面があります。
外傷対応でも、訪問鍼灸でも、
技術そのものより先に、
どこまで触るかを決める判断が必要になることがあります。
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