訪問鍼灸のヒヤリハット|起き上がりを何度指導しても、夜間に転落しかけた話

①この記事で避けられること(読む理由)

この記事では、
・危ない起き上がり動作を、口頭指導だけで何とかしようとすること
・施術中にできているから大丈夫だと考えてしまうこと
・生活場面で繰り返される危険動作を、環境調整なしで放置すること

を避けるための判断を置いています。

②誰向けか

・訪問鍼灸をしている人
・訪問看護、介護職でベッド周囲の動作を見ることが多い人
・起き上がりや移乗でヒヤッとする場面がある利用者に関わる人

③現場の前提

ベッドから起き上がる時、
いつもかなり危ない動きをする患者さんの話です。

その方は、施術後に起き上がる時、
身体の位置がベッドの端に寄ったまま、
足を先にベッドから下ろし、
ベッドガードを手で引っ張るようにして起き上がっていました。

起き上がった時には、
お尻がベッドから落ちそうなくらい端に寄っていることもあり、
見ていてかなり危ない状態でした。

そのため私は、
起き上がる前に、
まず寝たまま一度ベッド中央に寄ってもらうこと、
ベッドガードを引っ張って起きないこと、
この2つを繰り返し伝えていました。

④起きたこと

施術中は、
「危ないので一度止まってください」
「先に中央に寄ってから起きましょう」
と声をかけ、
必要なら無理にでも手順を踏んでもらっていました。

ただ、本人は
「分かった、分かった」
とは言うものの、
結局いつもの起き上がり方に戻ろうとすることが多く、
指導はなかなか定着しませんでした。

ある日訪問すると、
夜間にトイレへ行こうとした時、
起き上がる途中でベッドから落ちそうになった、
という話が出ました。

その時に、
施術の場面で止められていても、
生活の中では同じ危険動作が繰り返されていたことがはっきりしました。

⑤違和感(ヒヤリ)

この時のヒヤリは、
夜間に転落しかけたことそのものだけではありません。

何度指導しても入らない起き上がり動作を、
指導の延長で見続けていたこと

の方でした。

施術中は、
こちらが見ていて声をかけられます。
必要なら止めることもできます。

でも、実際に事故が起きるのは、
夜間やトイレ動作のように、
施術者がいない生活場面です。

そこでは、
本人が普段通りのやり方に戻るなら、
施術中だけ安全にしても足りません。

⑥減らせる判断

何度言っても入らない動作は、指導だけで防ごうとしないこと

起き上がりのような動作は、
一度癖になっていると、
危険性を理解していても元のやり方に戻りやすいです。

特に、
夜間、急いでいる時、
トイレに行きたい時のように、
生活場面ではその傾向が強くなります。

そのため、
施術中に正しい手順を練習することは大事ですが、
それだけで事故予防になるとは限りません。

危険動作が繰り返されるなら、
次に見るべきは
本人の理解不足だけではなく、
環境の側を変えられないか です。

⑦今ならどうするか

今なら、
何度指導しても同じ危険動作を繰り返す時点で、
口頭指導だけで終わらせません。

・ベッドの高さは合っているか
・ベッドガードの位置や使い方は適切か
・起き上がりの方向は安全か
・夜間動作で無理が出やすい環境になっていないか
・家族や介護職と危険場面を共有できているか

このあたりまで含めて見直します。

つまり、
起き上がりの手順を教える段階 から、
1人でも危なくなりにくい条件を作る段階
に切り替える、ということです。

まとめ

このケースで残す判断は1つです。

起き上がりの危険動作が何度指導しても変わらないなら、指導を続けるだけでは足りない

施術中に止められていても、
生活の中で同じ動きが再現されるなら、
事故は防げません。

だからこそ、
本人に分かってもらうことだけでなく、
環境を変えることまで含めて考える必要があります。


判断が揺れた時に、先に見る1枚

訪問では、
「危ない動きだと分かっているのに変わらない」
という場面があります。

今回のように、
指導しても生活場面で同じ動きが繰り返される時は、
本人の理解だけでなく、
環境調整に切り替える判断が必要です。

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