訪問鍼灸の判断|「治したい」が同じでも、思い描く目的地が違うことがある
①この記事で避けられること(読む理由)
この記事では、
・本人の「治りたい」と施術者の「まず守りたい」がずれたまま始めること
・最初に目的地を共有しないまま施術を続けること
・結果として「治してくれない」「この施術者はだめ」というすれ違いを起こすこと
を避けるための判断を置いています。
②誰向けか
・訪問鍼灸をしている人
・退院直後の高齢者に関わる人
・本人や家族との目標設定でずれやすい人
③現場では「治したい」の意味が一致していないことがある
例えば、かなり高齢の方。
もともと歩行能力は低下していた。
その状態で転倒し、大腿骨を骨折して入院。
退院後のタイミングから関わるとします。
本人は
「治してほしい」
と思っています。
施術者側も、
もちろん可能な限り良くしたい。
改善を諦めて関わるわけではありません。
ただ、この時、
同じ「治したい」でも、
頭の中で思い描いている目的地が違うことがあります。
④起きがちなこと
本人が思っている「治る」は、
骨折する前の状態かもしれません。
場合によっては、
骨折前よりさらに前、
まだ今より動けていた頃の感覚を思い浮かべていることもあります。
一方で施術者側は、
まずは
・今ある能力をこれ以上落とさない
・廃用を進めない
・日常生活の中で崩れないようにする
・少しでも動ける幅を残す
このあたりから見ます。
つまり、
本人は「元に戻る」を思い、
施術者は「これ以上落とさない」から入る。
ここが最初からずれていることがあります。
⑤違和感(判断が必要な場面)
このずれを放置すると、
施術が悪かったわけではないのに、
評価だけが悪くなります。
本人からすると、
「治るって言ったのに元に戻っていない」
になります。
すると、
「あの施術者はだめだった」
「治してくれなかった」
という話になりやすい。
でも実際には、
施術者側は
悪化を防ぎ、
今ある力を保ち、
できる範囲で改善も狙っていたかもしれません。
ここで起きているのは、
技術だけの問題ではなく、
目的地の共有不足 です。
⑥減らせる判断
「治したい」と言われた時ほど、何をどこまで目指すのかを分けて話すこと
高齢で、もともとの歩行能力が落ちていて、
さらに骨折や入院を経た方では、
壊れた機能がそのまま元通り、
若い時のように戻るのは厳しいことがあります。
ここは、
最初に伝える必要があります。
ただし、
ここで
「もう無理です」
だけになると、
希望を切るだけになります。
大事なのは、
厳しい現実を伝えながらも、
その中で何を目指すかを一緒に置くことです。
たとえば、
・まずはこれ以上落とさない
・座る、立つ、移るを少しでも楽にする
・介助量を増やさずに保つ
・今より少しでも歩ける幅を残す
・改善の可能性は諦めないが、目標は現実に置く
この形です。
⑦厳しいことを言うだけでも、希望だけを言うだけでも足りない
ここで難しいのは、
現実だけを言えばいいわけでも、
希望だけを言えばいいわけでもないことです。
「年齢的に難しいです」
だけでは、
本人の気持ちは置いていかれます。
逆に、
「大丈夫です、治します」
だけでは、
後でずれます。
そして実際には、
元通りは難しいと伝えること自体、支援者側もしんどい
場面があります。
がっかりさせるかもしれない。
希望を削るかもしれない。
そこで言葉を濁したくなることもあります。
でも、
そこを曖昧にしたまま始めると、
後で目的地のずれが大きくなります。
その場ではきつくても、
最初に現実の線を引いておく方が、
結果として継続しやすく、
信頼も残りやすいです。
必要なのは、
現実の線を引きながら、改善の余地は捨てない言い方 です。
・元通りは簡単ではない
・でも、今より少しでも良くすることは目指す
・少なくとも、これ以上崩さない意味は大きい
この3つを一緒に伝える方が、
後で関係が崩れにくいです。
⑧今ならこう話す
今なら、
退院後の高齢者に関わる時、
最初にこういう話をします。
「元の状態まで戻るかどうかは簡単ではありません。
ただ、ここからさらに落ちないようにすることも大事ですし、
その中で少しでも動きやすくなる可能性は一緒に見ていきます。」
つまり、
最初から
期待を切るのではなく、期待の置き場所を現実に戻す
ことを意識します。
治すことを諦めるのではなく、
治るの意味をそろえる。
ここが大事だと思っています。
まとめ
この記事で残す判断は1つです。
「治したい」が同じでも、目的地が違えば、施術の評価はずれる。
本人は元に戻ることを思い、
施術者はまず落とさないことから入る。
このずれを放置すると、
施術そのものより先に、
期待のずれで関係が崩れます。
だからこそ、
最初に
何をどこまで目指すのか、
現実と希望をどう置くのかを共有する必要があります。
判断が揺れた時に、先に見る1枚
訪問では、
本人の希望にそのまま乗ると、
後から目的地のずれが大きくなることがあります。
今回のように、
「治したい」が同じでも、
頭の中のゴールが違うことはよくあります。
LINEでは無料特典として、
「訪問で判断がブレた時に先に見る1枚」
を配布しています。
延長・頻度・キャンセル・関係のズレを、
その場の感情で決めないためのチェック用です。
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