訪問鍼灸のヒヤリハット|転倒より怖かったのは、すぐ中に入れなかったこと

①この記事で避けられること(読む理由)

この記事では、
・独居の高齢者で、転倒時の対応が遅れること
・本人の認識と実際の歩行能力がずれたまま生活していること
・何かあった時に、すぐ介入できない家の構造を放置すること

を避けるための判断を置いています。

②誰向けか

・訪問鍼灸をしている人
・訪問看護、介護職で独居高齢者に関わる人
・転倒リスクのある利用者の生活環境を見ている人

③現場の前提

90代女性、独居の方の話です。

歩行能力はかなり低く、
伝い歩きでも見ていて怖いくらいの状態でした。

ただ、本人の中では
「自分は歩ける」
という感覚がまだ強く残っていました。

昔お店をしていたこともあり、
店舗兼自宅の家に住んでいました。

普段は店舗側に座って、
窓から外を見るのが好きな方でした。
外からも中の様子が見える造りでした。

④起きたこと

ある日、訪問した時、
外からその方が転倒しているのが見えました。

後から聞くと、
店舗側には2〜3段の階段があり、
そこを下りてシャッターを閉めようとしたとのことでした。

中から本人が助けを呼んでいましたが、
鍵が開いておらず、
すぐには中に入れませんでした。

幸い、店舗横の窓は開いており、
そこから入ることについては普段から許可をもらっていたため、
対応することができました。

その後、すぐに娘さんたちへ連絡し、
病院受診につなげました。

⑤違和感(ヒヤリ)

この時に怖かったのは、
転倒そのものだけではありません。

中に本人がいて、助けを呼んでいるのに、
すぐには入れなかったこと

の方でした。

独居で、
歩行能力は低く、
本人の自己評価は実際より高い。

この条件だけでも危ういのに、
何かあった時に
すぐ介入できる仕組みが弱かった。

そこが一番のヒヤリでした。

⑥減らせる判断

転倒リスクを見る時は、転ばない工夫だけでなく、転んだ後に入れるかまで考えること

独居の方では、
歩行能力や家の段差だけ見ていても足りません。

・本人がどこまで自分を動けると思っているか
・危ない動線にまだ入ろうとしていないか
・何かあった時に家族や支援者がすぐ介入できるか

このあたりまで見ておかないと、
事故が起きた時に対応が遅れます。

今回のように、
外から異変に気づけても、
すぐ中に入れない構造なら、
それ自体がリスクです。

⑦今ならどうするか

今なら、
転倒リスクの高い独居の方では、
歩行能力や家の段差だけでなく、

・危ない場所に一人で行こうとしていないか
・緊急時にどう入るか
・家族と連絡が取れる導線があるか
・鍵の管理をどうするか

このあたりまで早めに相談します。

このケースでも、
その後は何かあった時のために
鍵をキーボックスで管理するなど、
仕組みの相談につながりました。

まとめ

このケースで残す判断は1つです。

独居の転倒リスクは、転ぶかどうかより、転んだ後にすぐ介入できるかまで含めて考える

本人がまだ動けるつもりでいること、
危ない動線が残っていること、
何かあった時にすぐ入れないこと。

この3つが重なると、
小さな転倒でも対応が遅れやすくなります。

独居の訪問では、
生活動線だけでなく、
緊急時の入り方まで見ておく必要があります。

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